松崎しげる長男、最後の夏終わる…先制演出もコールド敗退
「高校野球西東京大会・2回戦、狛江10-3和光」(11日、町田市小野路球場)
西東京大会では、和光の「4番・右翼」で歌手・松崎しげる(66)の長男、松崎優輝外野手(3年)が初戦となる2回戦の狛江戦に出場した。1安打を放ったが、試合は八回コールドで敗退。最後の夏が終わった。
コールド負けを告げる打球が、頭の上を越えて芝で弾んだ。「終わるという感じがしなかった。すごく悔しいです」。ベンチ裏に引き揚げた松崎は、端正な顔に大粒の涙をこぼしてむせび泣いた。
1年夏からのレギュラー。最後の夏は4番に座り、初回は痛烈な三塁強襲安打で先制点を演出。後続の適時打で、捕手のタッチをかわす技ありのスライディングで生還した。
球児だった父の影響もあり、中1から始めた野球。この日父の姿はなかったが、メールでもらった助言が生きた。「狙い球を見極めろ」。ヒットは絞っていた変化球をしっかり振り抜いた。
5年ぶりの初戦突破はならず。松崎も悲願の夏1勝には届かなかった。勝てば次は父も観戦できただけに「負けちゃって、見せられなくてすいませんと伝えたい」と、また泣いた。今後も野球を続けるかは未定だが、懸命に白球を追いかけた時間は宝物。「みんなとできて楽しかった」。父の美声とは違った涙声で仲間に感謝し、高校野球を終えた。
◆松崎しげる(仕事で観戦できず)「朝からメールを20通ぐらい送りました。家で素振りしている時も『最後まで目線を切らすな』とか、よく言ってます。先日も、手のマメを私がはさみで切って処置してあげた。行けなくて本当に悔しい」