崇徳『団結星』で16強進出 矢田が執念V打…優勝候補筆頭苦しんだ
「高校野球広島大会・3回戦、崇徳2-1尾道」(16日、しまなみ球場)
優勝候補筆頭の崇徳は、2-1で尾道を下した。五回に矢田悠貴外野手(3年)が勝ち越しの左前適時打を放った。チーム一丸でつかみとった勝利。40年ぶりの甲子園出場へ向けて、また1つ階段を上った。
決して会心の当たりではない。それでも矢田は一塁べース上で大きく手をたたき、感情を爆発させた。「みんながつないでくれた。1点を取りたかった」。執念の一打。勝負強さを発揮する打撃で、チームに勝利をもたらした。
1-1の五回1死一、二塁。内角の直球を窮屈になりながら左前にはじき返した。「1打席目を見た投手の佐々木に体が開いていると言われた」。右肩の開きを我慢し、球をギリギリまで引きつけたことが功を奏した。
今春から帽子のひさしに「謙虚」と書き記した。過去の自分を見つめ直し、同じ過ちを繰り返さないと決めたからだ。「練習でミスしたとき、すぐに態度に出してしまっていた。練習の空気が悪くなっていた」
仲間から「謙虚」という言葉を辞書で調べるように言われた。自分の能力や地位などにおごらない-。改めてその意味を理解した。「野球はみんなでやるものだと思った」。フォア・ザ・チームを胸に誓った。
ナインのアドバイスが生んだ決勝打。今夏は、チーム一丸の雰囲気が例年以上にある。「相手投手を全員で攻略するという意識を、みんなが持っている。次の試合もその気持ちで戦っていきたい」。固い団結力が何物にも変えがたい、崇徳の武器だ。