近江の“親子鷹”伊東、原点はミャンマー野球

甲子園を目指す野球部部長・伊東洋(右)さんと息子の優作選手=皇子山球場(撮影・石湯恒介)
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 「高校野球滋賀大会・2回戦、近江14-0水口東」(18日、皇子山球場)

 2年ぶりの甲子園を目指す近江が、2試合連続の2桁得点で快勝。1番から2番に打順変更となった伊東優作外野手(3年)が、2安打2四死球1打点と全得点に絡む活躍を見せた。

 「3日前に2番と言われていたので、バント練習を増やした。とにかくチャンスメークすることを意識して」と語った伊東。初回無死三塁から「相手の内野が下がっていたので」とたたき付けるように二ゴロを放ち、先制点を奪った。以降は2安打2四死球で全打席出塁を果たし、14得点の大勝に貢献した。

 父は同じベンチに座る伊東洋部長(49)。15年のセンバツで“親子鷹”として注目された。「家では特に何も言われません」と明かしたが、今でも父を尊敬する出来事が脳裏に焼き付いている。

 小学6年の時、父と一緒に野球の普及活動でミャンマーに渡った。異国の地で見たグラウンドは「デコボコでとても野球ができるような環境では無かった」と言う。ミャンマーの子供たちと一緒に練習したが、言葉も通じない。そんな中、父は現地関係者とやり取りを行い、ジェスチャーを交えて子供たちに野球を教えていた。

 「言葉も分からない中で、野球を教えられるということに驚きました」と振り返った伊東。そして「ミャンマーでは野球ができることが当たり前ではない。それでも笑顔でプレーしていた。初めて野球をやったときのように、原点を思い出しました」と言う。

 あれから6年、高校球児となった今でも「本当に衝撃だったので。今でも(心に)残っています」と原点を胸に刻み、最後の夏に臨んでいる。父は今年、2015年度文部科学大臣優秀教職員の「国際交流 ユネスコ」部門で表彰を受けた。10年以上にわたってミャンマーでの野球普及活動が評価されたもので、高校野球の分野から選出されるのは極めて異例のことだ。

 “親子の絆”を深め、野球の原点を刻んだ異国の地。伊東は「親子で甲子園というよりも、今の3年生は最高の仲間たちなので。みんなで一緒に甲子園に行きたいです」。そう言い切った。まっすぐな目で見据える視線の先には、2年ぶりの甲子園が待っている。

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