亡き妻の思い出かみ締め観戦 楽天・今江が取り持った結婚から1年
「ロッテ4-0楽天」(11日、QVCマリンフィールド)
QVCマリンのスタンドで、愛する人との思い出をかみ締める人がいた。
昨年5月31日に、ロッテ-DeNA戦(QVCマリン)で「プロポーズ始球式」を行った、花島工真(たくみ)さん(26)だ。工真さんは、当時交際していた舘石彩さんに、サプライズでプロポーズ。打席には彩さんが大ファンだった今江(当時ロッテ)が立ち、「今江選手からストライクを取ったら、結婚してください!」と宣言すると、見事に空振り三振。見守った彩さんは、涙して求愛を受け入れた。
そのとき、彩さんはかねて患っていた骨肉腫を再発していた。7年の交際を経て愛を育んできた彼女を支えたい一心の工真さんは、永遠の愛を誓った。2人に感銘を受けた今江からも祝福され、昨年8月12日に晴れて入籍した。
しかし、病魔は彩さんの体をむしばんでいった。新婚生活もつかの間、肺への転移が進むなどし、入退院を繰り返した。工真さんの懸命の願いと看病もむなしく、昨年12月27日、彩さんは享年27歳という若さで、帰らぬ人となった。
最愛の妻を失って、半年が過ぎた。結婚記念日の前日である11日、工真さんはQVCマリンを訪れた。「つらかったんですが…。暗い顔ばかりしていても、彼女が心配すると思うので」と神妙に話した。
彩さんとの出会いも、学生時代にアルバイトしていたQVCマリン。自分たちの結婚を祝福してくれた今江がいる楽天戦だ。葬儀にも駆けつけ、棺にボールを手向けてくれた今江のプレーする姿を見ると、工真さんは元気づけられた。天国の彩さんのためにも強く生きる。妻はそんな夫の姿を、温かく見守っているに違いない。