沖縄公立校・嘉手納が「春の関東王者」打ち崩した 19安打で初陣星

 「全国高校野球・1回戦、嘉手納10-3前橋育英」(11日、甲子園球場)

 楽しそうに初出場の選手たちが躍動した。嘉手納(沖縄)が、春の関東王者・前橋育英を完膚無きまでに打ち崩し、春夏通じて甲子園初勝利を挙げ、16強に一番乗りした。聖地で鳴りやまなかった指笛と金属バットの快音-。沖縄勢では10年夏決勝の興南以来となる19安打の猛攻に、大蔵宗元監督(42)は「正直、できすぎです」と笑う。

 合図は指揮官の一言だった。五回終了のグラウンド整備中、満員になった一塁アルプスを指さし「このままだったら沖縄に帰れないぞ!」とゲキを飛ばした。すると七回、打者12人の猛攻で一挙8点を奪い逆転に成功。その後も勢いは止まらず、19安打中17本が単打でつながった。

 近年有力選手が県外流出する中、地元選手のみの公立校が見せた猛打。「野球をやらせてあげる環境作りが大事」と大蔵監督は明かす。沖縄水産で02年から4年間、栽弘義監督(当時、故人)の下、コーチとして指導者人生を始め、設備も整わない段階から選手を鍛えるノウハウを学んだ。

 生徒の個別練習につきあい、観察し、的確な声をかける-。「乗れば強い。でなければモロい」島の子たちを、沖縄で受け継がれるタクトが踊らせた。

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