4月に被災…秀学館・広部が決勝弾「熊本のために1つでも多く勝つ」
「全国高校野球・2回戦、秀岳館6-1常葉学園菊川」(12日、甲子園球場)
今春センバツ4強の秀岳館(熊本)は終盤の長打攻勢で突き放し、初戦を突破した。
弾丸ライナーが左中間席へ伸びていった。強烈な浜風に乗り、そのままフェンスを越えた広部就平内野手(2年)の打球。「体が反応した。自分のホームランが勝利に貢献できて良かったです」と満面の笑みを浮かべた。
七回、先頭で放った勝ち越し弾が打線に勢いをつけた。終盤の集中打で相手を突き放し「熊本の人に勇気と感動を与えられるようにやってきた。大優勝旗を持ち帰って、熊本の人に見せてあげたい」と広部は力を込める。
4月に熊本地震が発生。2度目の震度7を観測した4月16日以降、自宅のある京都へ戻った。1人で素振りとランニングに励む中、テレビで熊本の様子を心配そうに見つめた。「藤崎台(県営野球場)が壊れたりしていて…」。再び熊本に戻ると誰よりも練習に打ち込んだ。
日付が変わるまで個別練習に取り組み、翌朝は7時から体を動かした。「熊本のために、1つでも多く勝ち上がっていけるように」。京都生まれの17歳が“第2の故郷”のために、バットを振る。