常総学院・鈴木昭“真のエース”になれた最後の夏「この仲間と終われて…」
「全国高校野球・準々決勝、秀岳館4-1常総学院」(18日、甲子園球場)
夏を満喫した。ほんの少し唇を震わせながら、晴れやかに常総学院(茨城)の鈴木昭汰投手(3年) は言った。「悔いはないです。最後、この仲間と終われてよかった」。甲子園が自分を成長させてくれたことを実感できた。
春は2度出場。よくも悪くも“お山の大将”だった左腕の転機は、今春センバツの初戦敗退。大会後は左肩痛で投げられず、心も波立ち、春の県大会はメンバーから外された。
ベンチの外から野球を見ると新たな発見があった。「流れを読むようになった。勝つためにどうすればいいのか」。練習でも、チームメートが忘れている細かい準備不足を未然に助言。松林康徳部長(31)は「周囲が見えるようになった」と認めた。支えてくれる仲間の有り難みも身に染み、逆に信頼も得た。
13安打を浴びて優勝候補・履正社に3失点完投で勝てたのも「この1点は」という流れを読む投球ができたから。中1日のこの日は、ソロ2発を被弾。四回から右翼に回ったが「できることは出し切れた」と潔かった。
小学生の頃から「夏の甲子園で一番の投手になる」と言っていた。優勝はできなくても「甲子園に来られてよかった」と笑った。プロ志望こそ明言はさけたが「上のステージでやりたい」と目を輝かせた鈴木昭。「いろいろあった1年間でした」という最後の夏までの日々を糧に、全てを見通せる投手になる。