作新学院・小針監督が涙 23歳での就任から10年、「積極野球」で栄光つかんだ
「全国高校野球・決勝、作新学院7-1北海」(21日、甲子園球場)
作新学院(栃木)が北海(南北海道)を破り、春夏連覇した1962年以来54年ぶり2度目の優勝を果たした。若き指揮官の目に涙があふれた。就任から10年、33歳でつかんだ全国制覇。「まさかこのチームが…。選手たちがよく頑張り抜いてくれた」。作新学院の小針監督は喜ぶナインを頼もしそうに見つめた。
目指したのは「積極野球」。先頭打者が塁に出ても簡単には送りバントを使わない。この日も3盗塁を決め、相手を揺さぶった。今大会5試合で犠打は3つだけ。「バントも戦術だけど、ウチのセオリーはエンドランや盗塁。アウトを1つ与えるより打っていく姿勢を出したい」。強気な攻めをチームに植え付け、迷いなく采配をふるった。
作新学院OBで2年時にセンバツに出場した。筑波大卒業後、23歳の若さで母校の監督に就任した。高野連が主催し、若手指導者を育成する目的で始まった「甲子園塾」の2期生。講師の尾藤公氏(元箕島監督)、山下智茂氏(元星稜監督)らから受けた「厳しくても愛情を持って選手に接すること」の教えを胸にチームを育てる。
長渕剛の大ファンで、好きな曲は「情熱」。試合前にはバスの中でコンサートのDVDを流し、ナインの士気を高めるという。これで甲子園通算16勝。着実に実績を積み上げる33歳の指揮官は「高校野球は一年一年が勝負。この経験を次のチームに生かしたい」と晴れやかな表情で語った。