打者・大谷は外せないけど「投手」も欲しい…ハム逆転Vのカギ握る二刀流起用法
首位ソフトバンクとし烈な優勝争いを繰り広げる日本ハム。その中で、7月末から打者に専念して出場を続ける大谷翔平投手(22)が、球宴後は打率・370、9本塁打、23打点と絶好調を維持し、打線の貴重な得点源となっている。右手中指のマメをつぶした影響で後半戦の登板は中継ぎで1度だけだが、試合では打撃に集中。残り31試合でどれだけ打つか、あるいは先発登板復帰はあるのか。二刀流から目が離せない。
これも、けがの功名か。7月26日から打者として野手フル出場を続ける大谷のバットの勢いは、とどまることを知らない。
打者専念中の好調さは、数字に顕著に表れている。先発登板がまだ1度もない後半戦に限ると、100打数37安打、打率・370、9本塁打と打ちまくっている。後半戦野手出場時のチーム成績は17勝10敗。優勝を争う上で、今や打者としてなくてはならない存在になっている。
そもそも野手専念の始まりは、7月10日ロッテ戦で右手のマメをつぶし投球不能に陥ったことだ。160キロを投じる大谷のローテ離脱は大きな痛手。先発復帰を首脳陣は模索していたが、中継ぎで調整登板した24日のオリックス戦で制球に苦しむ姿に「フォームがバラバラ。ちゃんとやってくれって言いたいよ」と栗山監督が嘆いたこともあった。
かといって類いまれな打棒を持ち合わせるだけに、指揮官は「打つ方があるから2軍で調整するというわけにはいかないんだよ」とも。投手だけなら一度、2軍に落として再調整できるが、1軍での野手出場と並行して投手調整も進めなければならない苦しい胸の内を明かしていた。
もちろん現在も投手調整を継続しているが、野手としてよりハイレベルな結果を残す。好調の秘けつについて周囲はこう見ている。城石打撃コーチは「(試合中に)バッターのことに専念できていますよね。ピッチャーの意識は全く考えていないでしょう」と言う。プロ入り前、獲得に尽力した山田正雄スカウト顧問は「打者だったらもともと1軍レベルだったからね。これくらいはね」と後半戦の結果に驚きはない。
先発の場合、登板前2日間と翌日は欠場して投手調整に専念する。野手だけなら欠場は避けられ全試合でチームの得点力が増す。首位ソフトバンクと0・5ゲーム差。「どうやって使えば勝ちやすいかをよく考える」と栗山監督。大谷は今後、投球練習の回数を増やして先発復帰への準備も進めるが、今週は打者に専念する予定。残り試合の二刀流の起用法が大逆転Vの鍵を握っている。