神戸国際大付の“あばれる君”が大ケガに負けず打線をけん引
「秋季高校野球近畿大会・1回戦、神戸国際大付9-0近江」(22日、紀三井寺球場)
神戸国際大付(兵庫1位)が近江(滋賀2位)を七回コールドで下し、初戦を突破。来春センバツ出場へ大きく前進した。原動力となったのは来秋ドラフト候補に名前が挙がる猪田和希捕手(2年)だ。
初回無死満塁から「内角はファウルにして、外に張っていた」と外角に逃げるスライダーを左手一本でうまく追っつけた。先制の右前適時打で打線を勢いに乗せると、続く二回には痛烈に三遊間を破る左前適時打。六回には中前へ高々と上がった飛球がポテンヒットとなり、青木監督も「4番が打ったら勢いに乗る」と目を細める。
「緊張はしなくて、楽しみの方が大きかった。早く公式戦をやりたかった」と笑った猪田。だが兵庫大会決勝で顔面に死球を受け、救急搬送された。鼻骨とほお骨の3カ所を骨折しており、「本当は29日に1回戦にならないかなと思っていたくらい」と青木監督は明かす。
だがレーザー治療などあらゆる手を尽くし、フェースガードなしでもプレーできる状態に。打席での恐怖心については指揮官が「緩いボールから打たせる」ことから始めて、徐々に取り除いていった。
兵庫大会中、“あばれる君”に似ていると取り上げられたことで「周りの人からも似ていると言われます。みんなそれで笑ってくれるので、楽しくやっています」と自らをネタに、チームを盛り上げる司令塔。大ケガにも負けず、来春のセンバツへ大きな一歩を踏み出した。