ハム中田、主砲覚醒打 大谷敬遠で燃えた!気迫の2点タイムリー
「日本シリーズ・第3戦、日本ハム4-3広島」(25日、札幌ドーム)
負けられない一戦。試合の流れを動かしたのは、日本ハムの4番・中田翔内野手の意地と気迫の一打だ。1点を追う八回2死二塁。目前で大谷が敬遠気味に歩かされた。
「気合は入っていた」とする一方で、中田は冷静だった。「はなから(大谷が)歩かされると思っていた。逆に冷静に配球とか、いろんなことを考えていた」。高まる集中力。ジャクソンの外角スライダーをバットの先で拾い、打球は左翼前へ。突っ込んだ左翼・松山が後逸する間に2者が生還する二塁打とした。
「ド先だったんで、落ちてくれと祈りながら走っていた。うれしかったですね」。塁上で力強く握った拳はナインを奮い立たせ、その後追いつかれるも、延長でのサヨナラ勝利につながっていった。
第1戦は4打数無安打3三振。だが内角を意識させられてフォームが崩れかけた中でも、主砲は静かに牙を研ぎ続けた。「バットがあおり気味に出ていたので、その修正を意識した」。4番の責任感が体を突き動かした。
もう一つ、この一戦への特別な思いがある。引退する広島・黒田との対決だ。広島出身の中田にとって黒田は「小さいときから見ていたスーパースター」。対戦は2打数無安打。六回には3度目の対戦直前でアクシデントにより黒田が降板した。
「もう1打席、立ちたかったですけどね」としながら「すごくいい経験だった」。中田もまた、その男気を心に焼き付けた。2連敗から得た大きな1勝。「ウチは土壇場で強い。ここから巻き返します」。覚醒した主砲の一打は、シリーズの潮目を変えた。