早実・清宮、甲子園を封印しチーム結束 監督「彼はこの大会優勝にかけている」
「秋季東京都高校野球大会・準決勝、早実9-0国士舘」(30日、神宮第2球場)
早実が先発の中川広渡投手(1年)が先制2点打と7回を0点に抑える活躍を見せ、七回コールドで勝利し、11月3日に行われる決勝(神宮球場)進出を決めた。来春のセンバツ出場当確へあと1勝と迫ったが、主将の清宮幸太郎内野手(2年)は、あくまでこの秋季都大会と、優勝して進める明治神宮大会が当面の目標だと強調。チーム内では甲子園を目指すことを考えないようにしていると明かした。
この日の清宮の打撃結果は第1打席から中飛(一回)、右前打(三回)、右飛(三回)、死球(五回)で3打数1安打だった。先頭で迎えた三回は自身の安打をきっかけに打者一巡の猛攻となり一挙5得点を挙げた。四回には1年生4番の野村にソロ本塁打も出て、大差をつけた。投げては中川が7回無失点でコールド勝利ながら完封と、投打がかみ合った。来春センバツ出場校を選考する上の材料となる大会で、大きな意味を持つ決勝進出を決めた。
ただ、清宮はチーム内では甲子園を目標にする、とは言ってこなかったという。「甲子園、甲子園と言われますけど、この大会は明治神宮大会の予選なので。僕たちが目指しているのはそこなので。今までやってきたことを次の試合で出し切って、神宮大会につながるようにしたいです」。野村も「(チームの中で)秋大(秋季大会)で優勝というのがあって。甲子園を目標にしていたのではなくて、秋大を優勝して神宮に行くことを目標にしていた」と声をそろえた。
明治神宮大会は北海道、東北、関東、東京、東海、北信越、近畿、中国、四国、九州の10地区の大会を優勝したチームが集まる秋の日本一を決める大会。事実上、この大会に出場したチームは翌春のセンバツ出場が確実なのだが、あえてそのことは考えないようにしてきたという。
和泉監督は「自分が打つ、打たないじゃなく、チームを勝たすためのキャプテンシーをみんなに伝えている。彼はこの大会の優勝に対してかけている」と証言する。実際、清宮は昨日の関東第一戦に勝った直後は「全然ひと安心できるとこじゃないよ。ここで勝たなきゃ、何も意味ないし、今までやってきたことが無駄だったとなっちゃうから、しっかり切り替えて1個しっかり勝とう」。今日の勝利後も「次勝つためにやってきたから」とロッカーでチームメートに声をかけたといい、何よりもチームの勝つ雰囲気づくりに心を砕いている。
05年以来の優勝がかかった11月3日の決勝戦へは「その先には甲子園があるわけですけど、先を見ずに、次の一つの試合ととらえて全力で臨みたい」と一戦必勝の姿勢で挑む。