清宮、甲子園に帰ってくる!早実、サヨナラで東京制す
「秋季高校野球東京大会・決勝、早実8-6日大三」(3日、神宮球場)
早実が逆転サヨナラ勝ちで11年ぶり10度目の優勝を飾り、来春のセンバツ出場を確実にした。怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(2年)は自身初の5打席連続三振を喫したが、チームメートがカバー。最後は野村大樹内野手(1年)がサヨナラ2ランを放った。日大三は、桜井周斗投手(2年)が毎回の14奪三振の力投を見せたが、九回に力尽きた。早実は明治神宮大会(11日開幕・神宮)に出場する。
少し遅れて本塁付近に駆けつけた清宮が、叫びながら両手を突き上げた。劇弾を放った後輩を、会心の笑顔で出迎えた。主将としてつかんだ秋の東京王者。夜空に5度、胴上げもされた。「ここまで周りに助けられたのは初めて」。涙こそこぼれなかったが、目は真っ赤に潤んでいた。
自身は苦しみ抜いた。プロ注目左腕・桜井に5打席連続三振。「こんなに三振したのは初めて」。低めのスライダーに手を出し、九回のサヨナラ機でもバットは空を切った。
だが、ナインはたくましかった。2点を勝ち越された直後の九回は連打で1点差とし、清宮の打席間の暴投で同点。さらに1死二塁から、4番・野村が右翼席にサヨナラ弾を放り込んだ。「自分が三振した後に打ってくれた。男だな、と思った」。先輩からそう持ち上げられた野村だが「打てていない時、清宮さんがカバーしてくれた。今度は自分がカバーしたいと思った」と、かぶりを振る。
清宮が考案したスローガン「GO!GO!GO!」。何度も何度も大声で繰り返す姿に全員が引っ張られ、明るくあきらめないカラーが染みついた。この日も主砲として連続三振を喫しながら「自分みたいなのはやるなよ、と言っていた」と、落ち込まなかった。「打てるよ!」、「楽にいけよ!」と、次々と声がかかった。今まで自分がしてきたことを「みんなが先頭を切ってやってくれた」。成長を遂げ、求めていたチームの形があった。
準々決勝からの3試合は、11打数1安打0打点。活躍できずにつかんだ優勝は「全然違いますね。主将としてうれしい」。未体験の喜びがあった。もちろん、満足はできない。明治神宮大会、その先のセンバツへ。「このチーム力に、自分の打撃もプラスできるように」と誓った。全国の猛者を相手に大暴れする怪物・清宮-。みんながその姿を待っている。