呉、初聖地“当確” 広島勢3年ぶり、呉市54年ぶりセンバツへ
「秋季高校野球中国大会・準決勝、呉6-3鳥取城北)(5日、ユーピーアールスタジアム)
準決勝2試合が行われ、呉が鳥取城北を6-3で下し、春夏通じて初の甲子園となる来春のセンバツ出場をほぼ手中にした。センバツ出場が決まれば広島勢では2014年の広島新庄以来3年ぶり。呉市からの甲子園出場となれば1963年春の呉港以来となる。また、宇部鴻城は創志学園に逆転勝ちし、2年ぶり3度目の出場が確実になった。両校は6日に神宮大会出場をかけた決勝戦に臨む。
最後は気が気でなかった。試合中ずっと大声でナインを叱咤(しった)し続けてきた中村信彦監督(61)は、遊撃の主将・新田の失策から3点差に迫られ、不穏なムードが漂うグラウンドを見つめながら「冗談だろ!早く終わってくれよ」とうめいた。だが、エース池田を中心にした選手の方が冷静だった。試合が終わるサイレンを聞いた後はこの言葉。「何だか夢みたいですね」。そう、監督の、学校の、呉の夢がグッと近づいた。
三回、7番・西岡がチーム初の左前打で出塁し、続く上垣内に犠打のサイン。これを失敗するや、エンドランに切り替え、見事に成功させた。1死一、三塁の場面で相手野選から先制すると、次の2番・奥田が初球スクイズ。「いろいろやらないと点が入らないから」。四回には長短打5本を集めて4点を奪い、一気に自軍に流れを呼び込んだ。
創部10年目で初となる来春のセンバツ切符をほぼ手中に収めた。広島勢のセンバツ出場は2014年の広島新庄以来、3年ぶりだが、呉市からの出場となると、1963年春の呉港以来、54年ぶりとなる。
「らしいですね」と笑った指揮官は「自分たちの野球をするだけで精一杯ですわ」と続けた。07年の創部時に就任して以来、怒鳴って怒鳴って気合を注入してきた鬼が、一時だけ仏の顔になった。