楽天、FA岸と4年契約 星野監督は金本への殺し文句「前に出ろ」再び
西武からFA宣言した岸孝之投手(31)が18日、楽天と4年契約を結び、仙台市のコボスタ宮城で会見を行った。同席した星野仙一球団副会長(69)は「迷ったら前へ出ろ」と、阪神監督だった02年オフに広島からFA宣言した金本(現阪神監督)を口説いた同じセリフでハートを射止めたことを披露。闘将の名文句に導かれた岸は、来季15勝と日本一奪取を誓った。
岸とともにひな壇に並んだ星野副会長は、晴れ晴れとした表情で口を開いた。
「とにかく『迷ったら前に出たらどうだ』と。私のモットーとしている言葉を何度も何度も告げた中で、ようやく今日という日を迎えることができた」
11日の初交渉後、岸と2度の極秘交渉を行った。席上、14年前に恋人を口説き落とした時と同じセリフを幾度も口にした。「迷ったら前に出ろ」。阪神監督だった02年オフ。広島からFA宣言した金本にこう熱く語りかけ、入団へ導いた。10年オフ。自身が楽天監督を引き受ける際にも、自らに言い聞かせた言葉だった。
岸は迷っていた。故郷・仙台で野球がしたい。5年前の東日本大震災。甚大な被害を目の当たりにし「自分に何かできないだろうか」との思いが芽生えた。一方で、古巣への感謝の念もあった。揺れる心にくさびを打ったのは、闘将の一言。「『迷ったら前に進め』という言葉を聞いた時、そうだなと思った。その言葉ですごく前に進めた」と岸は言う。
背番号は「11」に決定。来季年俸は2億2500万円、4年総額16億円の大型契約だ。「常にキャリアハイを目指し来季は15勝したい。日本一を奪回しないと、地元に帰ってきた意味がない」。星野副会長に背中を押され、右腕が野球人生の新たな1ページを歩み始めた。