侍小久保監督の決意表明-選手、子供、国民のために…世界を獲る
世界の頂へ、いよいよ勝負の時を迎える。小久保裕紀監督(45)が率いる野球日本代表「侍ジャパン」が2大会ぶりの世界一を目指して、今年3月開催の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ挑む。13年の代表監督就任から築き上げたチーム、一昨年11月のプレミア12での敗戦、そして本戦へ。指揮官が、その思いをデイリースポーツへ語った。
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-WBCは小久保監督にも集大成の大会。
「日に日に重圧がのしかかっています。就任して一番に確認をしたかったのは日の丸を背負って戦う使命感、責任というものをしっかり背負える選手たちかということ。そういうメンバーが集まってきたと感じています」
-監督として勝つために必要なことは。
「トップの選手たちを集められるかがすべてです。あの監督の下ではやれないと言われてしまえば集まらない。ホークスでキャプテンをした時のように接しようと思いましたし、壁は作らないように意識してきました」
-一昨年11月のプレミア12は準決勝で韓国に敗れて3位。1敗の重みを感じたのでは。
「選手での負けと、監督での負けは全然違いました。それも経験しないと分からない。初めて大変なポジションを引き受けたのだと実感したのは、韓国戦に負けた後です。(勝負の)怖さを知ったのが、あの試合でした」
-課題の一つだった救援陣の整備は。
「中継ぎは日程がかなりタイトで登板が多くなる。人選は難しくなると思います」
-プレミア12とは投手起用も変わる。
「プレミアは球数制限がなかったので、理想は先発が完投または直接抑えにつなぐことでした。僕の中では最も勝つ確率が高いのが大谷-則本のリレーだったので、韓国戦は(開幕戦と準決勝も)そうしましたが、今回は球数制限があるので継投しかないですから」
-昨年11月の強化試合・メキシコ戦では細かい継投に敗れた。
「キューバも似たような戦術を取ってきます。初戦(3月7日)は、次から次に投手が出てくるという準備はしておいた方がいい」
-そうするとデータが重要となってくる。
「プレミア12での収穫の一つがスコアラーの働きでした。今の時代はデータ分析が重要。選手はデータがあって当たり前の環境でやっているので、それをそろえるのも一つの仕事だと思います」
-強化試合で山田のサードなども試した。
「山田のサードは本番では封印しようと思います。ただサードの候補は松田だけで、彼が不調の時は頭(スタメン)からいける選手が必要。そこで菊池にサードに回ってもらうことも考えています」
-先発争いでは藤浪が当落線上にいる。
「制球力が心配でしたが、制球を気にすると魅力の荒れ球がなくなる。それでも(強化試合で)本塁打を打たれた後のイニング、そして昨シーズン最後の2回の登板は、今までと違う姿を見せてくれた。ものすごく悩むところです。あれだけの力を持ったピッチャーはそうはいないので、非常に魅力的です」
-強化試合は4試合とも4番・中田だったが、WBC本戦は。
「中田か筒香のどちらかです。強化試合では中田が『もう4番は俺じゃない』という雰囲気があったので、すべて4番で起用しました。彼は球界を背負っていく選手。自分の居場所でしっかり結果を残すことが求められる。そういうメッセージを出したつもりです。ただ本番は勝つための最善を尽くします」
-直前の状態も踏まえた打順になる。
「その年の立ち上がりというのは難しい。予測ができないんですね。2月22日(宮崎合宿集合日)に集まって、選手の状態を見極めるというのが一番の仕事だと思います」
-WBCは今回が最後という報道もあったが、大会の価値とは。
「世界と戦うことは選手の財産にもなりますが、国民が1球団のファンの垣根を越えて一緒に戦えるのは日の丸を背負った時しかない。国際大会抜きでは語れない時代に入っていると思いますね」
-世界一奪還の意義もそこにある。
「20年の東京五輪で野球は復活しますが、一度きりではいけない。1人でも多くの子供たちに野球に携わってもらいたい思いが強い。その思いで今はユニホームを着ています」