オリックスのAクラス確信 豊富先発陣が可能にするウルトラC配置転換
キャンプインから1週間。沖縄、宮崎、米国アリゾナの各地で密着取材するデイリースポーツ担当記者が、チームを徹底分析する「番記者の眼」(キャンプ編)を随時更新していきます。第1回はオリックス担当が今季の戦力を投打にわたって解析します。
恐らく評論家諸氏による順位予想は、オリックス下位が大半を占めるだろう。だが、果たして本当にそうなるだろうか。
昨年はオープン戦、交流戦、公式戦、そして2軍とすべて最下位に終わった。その屈辱をバネに的確な補強に動き、若手の育成に力を注いできた。では、どの程度の戦力アップが実現できたのか。投打で分析してみた。
まずは投手陣。昨季のチーム防御率はリーグ最低の4・18。深刻なコマ不足に陥った反省から、新外国人にメジャー407試合登板のコーク、ロッキーズで昨季40試合に登板したヘルメン、速球派のウエストと3人を補強。ドラフトでは社会人ナンバーワンの1位・山岡(東京ガス)、2位の黒木(立正大)ら大学・社会人から4人を指名した。さらにFAで阪神に移籍した糸井の人的補償で金田も獲得した。選手層は格段に厚みを増した。
その成果は布陣に表れた。先発をみれば3年連続2桁勝利の西を筆頭に球界最高年俸の金子、3年連続9勝のディクソンと3本柱は健在。ここにコークと伸び盛りの松葉が続く。6番手争いはし烈だ。9年ぶりに先発転向の岸田に山田、山崎福の両左腕、山岡、黒木のルーキー、右肘手術から復活を目指す東明、そしてダークホースとして2年目の近藤も浮上している。
福良監督は「先発の競争は激しい。東明や近藤は場合によってはリリーフに回すこともある。先発の頭数がそろえば考えていることもある」と話す。“考えていること”とは話を総合するとディクソンの抑え転向と見た。
短いイニングなら150キロを超す直球に、ナックルカーブがあれば打たれることはない。イニングまたぎも可能な平野をセットアッパーにし、昨季頭角を現した吉田一、海田、塚原に新外国人のヘルメンをその前に置けば盤石のリリーフ陣が完成するというわけだ。昨季の日本ハムを見るまでもなく、現在の野球は強固なリリーフ陣をそろえられたチームが勝つ。オリックス投手陣にもその可能性はありそうだ。
次に打線。何と言っても注目は2年目を迎える吉田正だ。昨季は63試合の出場ながら打率・290、10本塁打を記録。指揮官は移籍した糸井に代わる3番・右翼として定着させる考えだ。4番には新外国人の右の大砲ロメロ。5番にはT-岡田。昨年の秋季キャンプで改良した打撃はキャンプでも快音を連発しており、7年ぶりの30発も期待できる仕上がりぶりとなっている。ここに昨季終盤に打撃復調を見せた中島が加われば、リーグ屈指の破壊力を持つ打線が完成する。
もう一つの鍵は安達だ。昨年は1月に難病の潰瘍性大腸炎を発症。キャンプ不参加で開幕も出遅れた。今年は2年ぶりにキャンプ参加。動きも軽やか。打線のつなぎ役として守備の要として安達が健在となれば、これほど頼もしいことはない。
結論としてAクラスは間違いない。ソフトバンク、日本ハムの2強の状態次第では、さらに上も十分狙えると予想する。(デイリースポーツ・達野淳司)