21世紀枠・中村、打倒強豪へ食トレ&素振り毎日千回

 第89回選抜高校野球大会(3月19日開幕・甲子園)の21世紀枠に選ばれ、40年ぶり2度目の出場を決めた中村(高知)。部員16人という少人数ながら食事の改善や毎日1000回の素振りで体力アップを図り、昨秋の高知県大会優勝につなげた。この冬も短い時間で効率的なトレーニングを積み重ね、選手たちは進化を遂げている。

 部員16人で挑む40年ぶりの甲子園。豊かな自然に囲まれた中村の練習グラウンドには今、活気と緊張感がみなぎっている。

 人数不足は毎年の悩み。進学校のため練習時間も短く、平日は火、木曜日だけしかグラウンドを使えない。そんな困難を乗り越え、昨秋の高知県大会で明徳義塾を倒して頂点に立った。目立ったのは選手たちの強じんな体力。一昨年8月に就任した横山真哉監督(54)は言う。

 「グラウンドが使えないので、基礎トレーニングを重点的にやるしかなかったんです」

 チームが進化するために、同監督が最初に着手したのが“食トレ”だ。

 ナインは週1回、専門家から食事指導を受ける。体重アップのため、白ご飯は毎日「(身長-100)×30グラム」の量を食べるのがノルマ。「170センチの選手なら2100グラム。コンビニのおにぎり1個が約110グラムなので、1日およそ20個分を食べることになります」と山本泰道部長(34)は説明する。

 量だけでなく「質」へのこだわりも強い。特に「筋破壊している場所にタンパク質を運ぶ栄養素」(山本部長)のビタミンB、B6を多量に含む緑黄色野菜の摂取を心がける。逆に「ビタミンBを破壊する」という砂糖は厳禁。ナインは絶対に甘いお菓子を口にしない。

 そんな良質の食事で培った筋肉を、毎日のウエートトレーニングで強化する。素振りは毎日1000回以上がノルマ。冬場は「赤バット」と呼ばれる1100グラムの重いトレーニング用バットを振り込み、スイングスピードを上げる。

 ほかにもメンタルトレーニングを週1回行うなど、グラウンド外でやれることを徹底的に実践してきた。「この環境でも私立の強豪に勝とうという気持ちでやってきた。選手たちがものすごくトレーニングをやってくれた」と横山監督。指揮官が提示する緻密でハードな練習メニューに選手たちが本気で取り組み、「21世紀枠」という大きな成果をつかみ取った。

 1977年にエース・山沖之彦(元阪急など)を擁し、部員12人でセンバツ準優勝。「二十四の瞳」として話題を集め、地元は熱狂した。あれから40年。今度は16人で快進撃の再現を狙う。

 「甲子園を沸かせられるようなピッチングをしたい」とエース・北原野空(のあ)投手(2年)。主将の山本泰生外野手(2年)は「目標は21世紀枠で優勝すること」と言い切った。センバツ開幕まで1カ月余り。16人はそれぞれが高いノルマを設定し、厳しいトレーニングを続けている。

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