希望の光は中田の一発 25打席目で待望 お目覚め弾
「WBC強化試合、阪神4-2日本」(3日、京セラドーム大阪)
WBC日本代表は3日、阪神との強化試合に敗れ、実戦4試合で1勝3敗となった。投打がかみ合わずに敗戦となった中、本番へ向けて明るい希望を抱かせたのが、七回に特大アーチを放った中田翔内野手(27)=日本ハム。調子が上がらなかった主砲が7日のキューバとの初戦前に本来の姿を取り戻した。
サイドステップで着地点を確認すると、ゆっくり一塁に向かって走り始めた。左翼席中段に届いた待望の一発。実戦25打席目で記録した“初アーチ”は、敗色ムードが漂い始めた七回だった。代表通算6本目の本塁打。復調を印象付ける、これぞ中田-の豪快弾だ。
2死走者なしで、相手は阪神の新外国人メンデス。対戦データもなく、予行演習には十分だ。初球、真ん中のスライダーを見送る。2球目。わずかに高く浮いた同球を狙った。放物線を描いた打球は左翼席一直線。敗戦の中でもキラリと光った特大アーチだった。
「打った瞬間、いったと思った。きょうは1打席目からしっかりしたスイングができた。それが3打席目につながったと思います」
この試合前まで代表合流後、実戦3試合で1安打。キャンプ中での実戦でも、5試合で計12打数無安打。昨秋悩まされた左手首痛が再発していた。代表合流日にも「キクはどう?哲人は?」と、仲間を気に掛けながら「オレよりマシか…」と自虐的に笑った。もがいていた。
キャンプで新たなフォームに挑戦したが、2月28日・台湾プロ選抜戦の九回の打席から昨季の打撃フォームに戻した。結果は中越え二塁打で実戦初安打。稲葉打撃コーチと二人三脚で、復調の兆しを見つけた。この日も2打席を終え、同コーチの元へ。ここまで多かった内角攻めに対し「ファウルでもいいと思って、楽に打とう」と助言を受け、最高の結果につなげた。
「いままでの試合では、投手を楽に投げさせることができていない」。7日の初戦を前に実戦はあと1試合。敗戦で生まれた一発にも反省を忘れない。「ここまできたらやるしかない。考え過ぎず攻めて、攻めていく」。待ってろキューバ。5番打者のフルスイングが流れを呼ぶ。