侍・藤浪、世界一へ出撃準備完了 権藤コーチ「ギリギリでメドが立った」
「WBC強化試合、オリックス3-5日本」(5日、京セラドーム大阪)
日本代表は5日、WBC前最後の試合となる京セラドームでの強化試合でオリックスと対戦した。藤浪晋太郎投手(22)=阪神=が先発したが、2回を2安打2失点。一回に四球や自らの失策などで失点し、立ち上がりの不安を露呈した。本番では中継ぎでの起用が濃厚だが、初戦となる7日・キューバ戦(東京ドーム)に向けて、首脳陣は「メドは立った」と前向きに捉えた。
ドームの白い天井を、しばらくの間見つめた。首をかしげながら、ため息をつく。定まらない制球。収まらない動揺。藤浪が乱れた。代表合流後、3度目の登板で手にした先発マウンド。チームにとっても開幕前最後の実戦で、2回を2安打2失点と精彩を欠いた。
「ここまでフォーシームをあまり投げてなかったので、使わせて下さいという話をしました」。確かな意図はあった。先頭の西野に対して初球。150キロの直球を投げた。わずかに高く外れると、5球連続で直球を選択。先頭に四球を与えると、歯車が狂い始めた。
さらに安達の2球目に二盗を許した。続く3球目。投手前への何でもない送りバントを処理後、一塁に悪送球。無安打で先制点を献上した。続く3番・吉田正の打席でも初球からスタートを切られ無死二塁。得点圏に進められると、左前打を浴びて2点目を失った。
動揺からか制球が定まらず、ロメロにも甘く入った変化球を狙われた。左前打で一、二塁とピンチ拡大。1死を挟んで小谷野も四球で歩かせた。続く伊藤を二ゴロ併殺に打ち取ったが、初回から21球を要する内容。「よくなかった。力み過ぎてしまった。反省したい」と振り返った。
ただ、権藤投手コーチは「メドは立った」と評価する。続く藤浪の二回の投球はカットボール、ツーシームを駆使して三者凡退に。代表合流後に登板した過去2戦同様に、動く速球で無失点に抑えた。今後の起用法を思案しながら「初回の四球にしても際どい所。どこで使うかは別にして、ギリギリでメドが立った」と同コーチは言う。同じように藤浪も収穫を口にした。
「打ってもらおうとして、あれぐらいで投げられたら。バックもしっかり守ってくれるので。動かすボールを使って打ち取りたい」
登板3戦目での初失点で方向性も固まった。オフに取り組んできた新たなスタイルで、7日・キューバ戦からブルペン待機する。「どこで投げろと言われても最高の準備をしたい。勝ちに貢献できるように。それしかない」。最後は語気を強めた。信じるのは世界一への道。藤浪にとって未知の戦いが間もなく始まる。