第８９回選抜高校野球大会（１９日開幕、甲子園）に出場する四国勢３校から注目選手を紹介する。今回は明徳義塾（高知）の守備の要・今井涼介内野手（２年）。

　伝統的に「堅守」が持ち味の明徳義塾。その中にあっても「グラブさばきは天性のものがある」と馬淵史郎監督が称える守備の名手が遊撃・今井だ。

　大阪・八尾市出身。小学低学年のころから父・隆博さんと自宅近くの公園で「ゴロを転がしてもらい、回り込んで左足の前で捕る練習」をするのが日課だった。中学３年時に明徳義塾の練習を見学。「守備のレベルやスピードが他の学校と全然違った」と衝撃を受け、「自分もここでやりたい」と入学を決意したという。

　１年夏からベンチ入りを果たし、昨夏の甲子園には「８番・二塁」で出場した。機敏な守りだけでなく、打撃でも４試合で１４打数６安打の大活躍。特に準々決勝・鳴門戦では２本のタイムリーを放つ勝負強さを見せ、チームのベスト４入りに貢献した。

　「３番・遊撃」で出場した昨秋も再三の攻守でピンチを救い、６年ぶりの四国制覇に貢献。明治神宮大会では高校初アーチも放った。この冬は基本を徹底。守備では「体勢が高いとミスしやすいので、ゴロに対して低い姿勢で入るように意識している」と捕球姿勢をチェックし、打撃面では「体が開くクセを直した」とフォーム修正を図った。

　「今年のチームは打線がつながるし、得点力がある。甲子園では優勝を狙えると思う」。確かな守備力と、しぶとい打撃。明徳野球の申し子は、大きな目標を見据えて準備を進めている。