侍・千賀、WBC初先発も5回0封 育成出身投手が今大会3試合9回無失点
「WBC・2次リーグE組、日本8-3イスラエル」(15日、東京ドーム)
WBC初先発となった千賀滉大投手(24)=ソフトバンク=が、5回を1安打無失点に抑える完璧な投球で勝利の礎を築いた。侍軍団に勇気を与えた快投を小久保裕紀監督(45)も絶賛。全勝で準決勝進出を決めた指揮官は改めて世界一奪還を誓った。
チームに流れを作り続けた熱投だった。千賀が今大会初先発し、5回を1安打無失点の好投。チームの6連勝に大きく貢献した右腕は試合後、「できすぎです。僕の目標では4回だった。もう1イニングを全力で出し切った結果です」と充実の表情を浮かべた。
均衡した状況が続いた中、集中力を切らさず己の投球を貫いた。許した安打は初回先頭打者の1本のみ。0-0の三回には死球から犠打と二ゴロで2死三塁のピンチを迎えた。だが落ち着きを失わず、2番・ケリーを152キロ直球で3球三振に仕留めた。手でグラブをパチンとたたき、熱い感情をむき出しにした。
この日は伝家の宝刀“お化けフォーク”を「良くなかった」と手こずった。それでも、「誠司さん(小林)が直球と変化球を使って、いいリードをしてくれた」と扇の要に感謝した。
試合前まで2試合の登板はいずれも中継ぎ。計4回を無失点と結果を残していた。この日は五回を投げ切って63球。球数制限の80球まで余裕はあったが、久々の先発。五回途中から左足のふくらはぎをつり、権藤投手コーチに交代を直訴したという。「0-0だったので、(続投して)失投で1点(取られる)よりかはと思って」と苦汁の決断だった。
育成出身の千賀は、昨季チームでローテを守り12勝。その経験がこの日の大一番での先発への糧となった。「バッティングカウントになっても、ゴロを打たせられるようになったのは成長したと思う」と初のWBCで力を発揮した。
小久保監督は「先発をちょっと前に伝えて、調整が難しかったと思うけど、ナイスピッチングでした」と称賛。無傷の6連勝で1次、2次リーグを突破し、いよいよ米国での準決勝に進む。「どの場面で上がっても、とにかくゼロで抑えて、いい流れを持っていくのが大事」と力を込めた千賀。頂点奪回へ、世界の強打者たちをバッサリと斬る。