世界が認めた侍・菊池「やり返す」 初失策で先制許すも意地の同点弾
「WBC・準決勝、日本1-2米国」(21日、ロサンゼルス)
WBC日本代表は21日(日本時間22日)、米国・ロサンゼルスで行われた準決勝・米国戦に1-2で敗れ、2大会ぶりの世界一奪還を逃した。菊池涼介内野手(27)=広島=は四回に先制点につながる今大会初失策を犯し、「僕のミスで負けた」と自らを責めた。ただ、六回に一時同点に追い付く本塁打を放つなど意地は見せた。4年後の雪辱を見据え、チームに戻って飛躍を期す。
菊池はベンチの最前列から、米国ナインの歓喜を眺めた。視線をそらすことなく目に、胸に焼き付けるように。ロースコアの投手戦で生まれた二つの分岐点。菊池の失策で先制点を、松田のファンブルで決勝点を失った。名手がミスに泣いた。
「僕が悪い流れを作ってしまった。みんなが打たないといけないと思ったかもしれない。悔しいですね」
試合後、菊池が静かにミックスゾーンで立ち止まった。自分自身を激しく責めたのは、四回の守備。イエリチの強烈な打球をファンブル。打球が外野を転々とする間に二塁まで進まれ、2死後に菅野がマカチェンに左前適時打を許した。「二塁に進めてしまったのがね」と失策が端緒となった先制点を悔やんだ。
断続的に降り続く雨の影響に加え、ドジャースタジアムでの試合は初。強烈な打球が芝の切れ目でわずかに軌道を変えた。「滑るのは頭に入っていたけど、イレギュラーに反応できなかった」。六回に2番手のN・ジョーンズの158キロをフルスイングで右翼席に運んだ。起死回生の同点弾。一時振り出しに戻したが、敗戦の本塁打に喜びはない。
「僕の中でマイナス。今日の試合が全てです。申し訳ない気持ちでいっぱい。ただ、僕の野球人生の中でも教訓になるし、勉強になったかなと思います」
必死に前を向く。1次、2次リーグでは再三の好守でチームを救った。MLBの公式サイトでも紹介され、世界は「KIKUCHI」を知った。だが、それよりも勝ちたかった。移動中。ふとした瞬間に、君が代を口ずさんだ。「誇りと自信を持って」。日の丸を背負った真剣勝負だった。
次回大会は21年。「そこまでは…。まだ考えられない」と言う。だが、味わった悔しさや互角に戦った手応えは、今後の飛躍につながる。「やり返したい気持ちも胸に焼き付けました。また世界一を狙えるように。成長して頑張っていきたい」。まだ成長できる。脳裏に刻んだ残像が、菊池の歩みを力強くさせる。