侍・小久保監督退任「俺の責任」 守備で不覚…準決勝で散る

 「WBC・準決勝、日本1-2米国」(21日、ロサンゼルス) 

 WBC日本代表「侍ジャパン」は21日(日本時間22日)、準決勝で米国に1-2で今大会初黒星を喫し、2大会連続で決勝進出を逃した。世界一奪還の悲願を果たせず、2013年から代表監督を務めてきた小久保裕紀監督(45)は試合後に退任の意向を表明した。後任候補には中畑清氏(63)、原辰徳氏(58)らの名前が挙がっている。

 冷たいロスの涙雨が、いつまでもグラウンドを打つ。「敗戦」の2文字を突きつけられてなお、小久保監督はベンチに座ったまま動こうとはしなかった。悔しさ、寂しさ-胸に去来する思いは何か。数分後、奈良原ヘッドに促され、ようやく重い腰を上げた。

 「選手はよくやったと思います。準決勝の一発勝負で負けはしましたけど、東京ドームからの戦いを含めて、本当に選手たちはよくやってくれたという思いです」。指揮官は、まず28人の侍たちへねぎらいの言葉を述べた。

 まさかの形での敗戦だ。投手を中心とした守り勝つ野球を掲げながら、四回1死から菊池(広島)の失策を足がかりに先制点を奪われ、同点の八回1死二、三塁では三ゴロを松田(ソフトバンク)がファンブルして本塁へ送球できず、決勝点を許した。

 小久保監督は「ミスで点が入りましたけど、これまでチームを救ってきたのも彼らのプレー」と2人をかばった。ただ、攻撃でも菊池の本塁打による1点のみ。大会を通じて本塁打は出たが、日本らしいつなぎの野球は最後まで影を潜めた。

 13年10月に監督に就任してから3年半、世界一奪還の目標に届かず、指揮官は「この大会に向けてということで引き受けさせてもらった。これで契約は満了です」と退任の意向を明かした。

 決して順風満帆とはいえない“航海”だった。監督経験のないまま代表監督に就任。一昨年11月のプレミア12では「正直、なめていた部分があった」と準決勝敗退。多くの批判の目にさらされ、苦悩の日々を送った。今大会直前には、柱である大谷が故障による代表辞退で打撃を受けた。

 それでも「史上最弱の代表」という前評判を覆し、快進撃を続けてきたのは3年半で培われた「結束」だ。「日本のためにリスクを顧みず戦ってくれた。日本球界を引っ張るという使命感に突き動かされた集団だった」と指揮官も最敬礼する。

 最後の時-。小久保監督は選手へ「敗戦は監督の責任。お前たちはよくやったし、胸を張って帰ろう」と話した。頂点には届かなかった。だが己の野球道を貫き、背番号「90」が静かに日の丸のユニホームを脱ぐ。

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