10人の不来方・菅原「テンパって」ヘルメットのまま左翼へ
「選抜高校野球・1回戦、静岡12-3不来方」(24日、甲子園球場)
21世紀枠として選手10人で出場した不来方(岩手)の初戦突破はならなかった。最後の打者となったのは、170センチ、90キロの菅原岳人外野手(3年)だ。遊ゴロに一塁へ転がるようにスライディング。泥だらけの顔で「(次打者の鷹觜=たかのはし)零志が『オレも打席に立ちたい』と言っていたので必死だった」と振り返った。
仲のよさで知られる同校だが、中でも明るいキャラクターで周囲を笑わせる。「本塁打を打つために」と増量し、打撃前のルーティンはおなかをポンと打つ“腹太鼓”。五回には中前打を放ち「プロ注目の投手(静岡・池谷)から打ったらめっけもん。彼がプロに行ったら一生に自慢になるとみんなで話していた」と胸を張った。
10人しかベンチにいない同校では、攻撃のランナーコーチは残りの選手で持ち回り。八回の攻撃中に三塁コーチに立った菅原は、攻撃が終わって左翼守備につく際にコーチに義務づけられているヘルメットをかぶったまま守備位置につこうとして、途中で気づいて大慌てした。「ベンチに膝を思い切りぶつけてテンパっていたんです。(ベンチ横の)カメラマンさんが笑っていたので気づいた」ととって返した。
4月には新入生が入ってくるため、10人での活動も終わる。「春の大会は登録20人になりたい」と言う一方で「いっぱい入ってくると(背番号)7はどうなるのかな?」と本音も。「あんまり増えると練習量が減るなあ」と“10人野球”の基本は守るつもりだ。