作新学院エース・大関 後悔の1球 「夏連覇」へ自らを追い込む
「選抜高校野球・2回戦、秀岳館3-2作新学院」(27日、甲子園球場)
重圧に負けたわけではない。秀岳館(熊本)の強力打線にも攻めの投球を貫けた。ただ、作新学院(栃木)のエース・大関秀太郎投手(3年)が悔やむのは四回の1球。同点に追いつかれたあと、2死二塁から相手エースの6番・田浦に投げた外角狙いの直球が甘く入った。
「コントロールミス。自分の未熟さを感じました」。右越え三塁打で勝ち越しを許すと、そこからチームは劣勢を覆せず、夏春連覇の夢は消滅した。8回3失点の左腕は「悔しい」と唇をかんだ。
昨夏のV腕・今井達也(西武)から引き継いだ名門の背番号「1」。先輩の背中に一歩でも近づきたいと、冬場は厳しいトレーニングに取り組んだ。
今井から言われた言葉を忘れない。「ピッチャーは、どれだけ一人で追い込めるか」。今井がそうだったように、必要なときはチームメートとも距離を置いて黙々と練習に打ち込んだ。加藤翼捕手(3年)と配球をめぐって激しく意見をぶつけ合ったこともある。エースの自覚と責任感。下級生の頃にあった“甘さ”は消えていた。
昨夏の甲子園はボールボーイとして先輩たちの全国制覇を間近で見届けた。「今井さんはすべての試合で投げて優勝した。自分も全試合を投げ切る体力をつけたい」。夏春連覇は逃したが、まだ「夏連覇」への挑戦は残る。苦い経験を糧に、エースは黙々と自らを追い込んでいく。