滋賀学園・神村、夏こそ聖地マウンドに立つ ケガに泣いた背番号1
「選抜高校野球・2回戦、福岡大大濠5-3滋賀学園」(28日、甲子園球場)
一度もマウンドに上がることなく、聖地を去った。ケガに泣いた背番号1。滋賀学園・神村月光(ひかり)投手(3年)は三塁ベンチから敗戦を見届けると、自分が立つはずだった舞台を見つめた。
「チームに迷惑を掛けて申し訳ないし、自分がふがいない」。昨年はエースとしてセンバツ8強へ導いた右腕は、うつむいて感情を押し殺した。
3月8日の練習試合解禁直前。腰痛を発症した。毎日1時間半のストレッチなどで復調への道を探ったが、状態は改善しない。「力が入らなくて、投げた瞬間に転びそうになる」。とても登板できる状況ではなかった。胸にはやり場のない怒りばかりが募った。
ただ、チームでは田井改周外野手(3年)とダブルキャプテンを務める精神的支柱。開幕と同時に気持ちを切り替えた。試合中の伝令役を務め、ベンチでは監督の横で声を張り上げた。陰でチームを支え続けた。
チームが3試合で計38イニングを戦った中、プレーでは全く貢献できなかった。そのもどかしさは残ったままだ。「この悔しさは絶対に忘れない。この思いは夏に爆発させたい。自分がチームを甲子園に連れてきて、あのマウンドで躍動したい」。エースはうなだれる仲間の背中を見つめ、再起を誓った。