履正社また涙 同点演出打も…安田「本当に悔しい」
「選抜高校野球・決勝、大阪桐蔭8-3履正社」(1日、甲子園球場)
史上初となった大阪勢同士の決勝は、大阪桐蔭が履正社を振り切り、12年以来2度目の優勝を果たした。履正社は2度目の決勝でも、春夏通じて初優勝を逃した。
最高の舞台では、また苦杯をなめさせられた。履正社の今秋ドラフト1位候補・安田尚憲内野手(3年)は硬い表情を崩さなかった。「本当に力負け。頭は真っ白です。本当に悔しい」。悲願の全国制覇にあと一歩だっただけに、敗北の現実は余計にこたえた。
一度は同点劇を演出した。3点を追う八回、2死一塁から左前打で好機を拡大。4番・若林、5番・浜内の連続適時打につなげ「粘って粘って、いい攻撃ができた」と神宮大会王者の底力を見せた。
悔やんだのは試合前半だ。初回は一度もバットを振らず、フルカウントから見逃し三振。四回も甘いスライダーを見逃し、最後は中飛に倒れた。「大事なところでバットが出なかった。相手はどんどん振っていた」。主砲として、九回に力尽きたエース・竹田を援護できず猛省した。
05年夏の大阪大会準々決勝。PL学園の捕手だった兄・亮太さん(現三菱重工名古屋)が大阪桐蔭に敗れた試合を観戦。前田健太、中田翔、平田良介らが繰り広げる激闘を目の当たりにし、野球にのめり込んだ。その時から、大阪桐蔭は超えることを宿命づけられた相手だった。
聖地初アーチを放った春は幕切れで暗転。「1打席目の見逃し三振で流れが(相手に)行ってしまった。流れを持ってくる選手でありたい」と成長を強く誓った。自宅の部屋の天井には「全国制覇」と記した紙を貼り、己を奮い立たせてきた。「夏こそ絶対に勝って、ここに戻ってきて、日本一になりたい」。安田はラストチャンスにかける。