履正社・竹田「強いものを倒す」 父譲りの反骨心で最後の夏へ
「選抜高校野球・決勝、大阪桐蔭8-3履正社」(1日、甲子園球場)
試合終了のサイレンが響く中、ナインより遅れて最後にベンチを出た。ほんの数秒。悔しさをのみ込むには、どうしても必要な時間だった。「最後まで粘りきれずに悔しい」と履正社・竹田祐投手(3年)は唇をかんだ。
相手のアーチ攻勢に3失点しながらも、八回までは粘りの投球。しかし、九回1死二塁で代打・西島に2ランを喫して一気に崩れた。5連打を浴びて降板。「切り替えられなかった」と悔やんだ。
大阪桐蔭からほど近い場所で育った。同校から誘いもあったが「強いチームを倒したい」と地元を離れて履正社を選んだ。負けん気の源はDNAだ。父・勉さん(46)はアメリカンフットボール、Xリーグの強豪マイカル・ベアーズ(現クラブ・ベアーズ)の元選手。勝負の世界の厳しさを教え込まれ「強いものを倒す」というのも父と同じ考えだ。
小学2年で竹田が野球を始めると、勉さんは息子のバックアップのために現役を引退。柔道整復師の資格を取得し、二人三脚で甲子園を目指してきた。
初戦から3試合連続完投。5試合すべてでマウンドに上がった右腕には、疲労が蓄積していた。それでも「絶対に勝たないといけない試合だった」。父譲りの反骨心がふつふつとわき上がる。「また、一から全部やり直し。夏は絶対に倒したい」。勝負は最後の夏だ。