「楽天４－３日本ハム」（１６日、Ｋｏｂｏパーク宮城）

　劇的な結末の予感がしたのか、ビハインドの展開にも観衆は席を立たなかった。土壇場の九回に同点に追いつき、迎えた延長十回１死一、二塁。楽天の代打・聖沢が応えた。右中間へ抜けた痛烈な打球。サヨナラの適時二塁打を放った背番号２３は手荒い祝福に酔いしれた。驚異の粘りで、１０勝リーグ一番乗りだ。

　勝負を託された聖沢は、確信を持って打席に入った。「相手の守備隊形を確認する余裕があった。外野が前に出てきていて、ある程度風も吹いているし、ヒットにする可能性はあると冷静に思っていた」。今季開幕スタメンに名を連ねながら、好調の岡島に先発出場を譲る機会が増えたが「控えは控えなりの準備をしていかないと」と早朝から早出特打を敢行。ベンチを温める層の活躍が、強さを際立たせている。

　球団最多の観客動員数を更新する２万７１６５人のファンが勝利を後押しした。梨田監督は「劣勢の中でも空席もなく、最後まで待っていてくれた。やっている僕らも集中力があった」と頬を紅潮させた。今季最多の貯金８。快走は止まらない。