「楽天４－２オリックス」（３日、Ｋｏｂｏパーク宮城）

　完封は逃した。だが楽天・則本はエースの名にふさわしい力投を見せた。九回、Ｔ－岡田に２ランを被弾し降板したが、３戦連続２桁奪三振となる１２個の「Ｋ」を刻んだ。首位攻防戦・第２ラウンドを制し、オリックスとのゲーム差を再び２とした。

　「個人としてはちょっと悔しい勝利かなと思います。でも、とにかく勝って良かった」。お立ち台で苦笑いを浮かべたが、仕事を果たしたことには安堵（あんど）の表情をにじませた。オリックス打線にフォークを狙われていると察知するや、横の変化に組み立てを変え、スライダーを駆使。カーブも有効に用いて三振の山を築き、八回までスコアボードに「０」を並べた。

　ひそかに狙ってはいた。前夜にセ・リーグ２８年ぶりとなる３戦連続完封をやってのけた巨人・菅野に祝福メールを送った。ＷＢＣで同じ釜の飯を食ったＧ投からの返信は、こうだった。「そろそろ完封いこうか」。先輩右腕のフリに応えたかったが「『やりました』と言いたかったですけど、また次回に取っておきます」と次なるマウンドに目を向けた。

　この日は「ＴＯＨＯＫＵ　ＳＭＩＬＥデー」として開催。被災地の小中学生を招待し、球団史上最多２万７２５９人の観客が詰め掛けた。「だからきょうは負けられなかった」。強く優しいエースが、笑顔を届けた。