オリックス福良監督、直撃インタビュー「鬼じゃないって」
オリックス・福良淳一監督(56)は鬼か仏かどっちだ!?春季キャンプ直前には胃腸炎の奥浪をキャンプ地入りさせず、体重オーバーの園部を初日で2軍落ちさせた。バント失敗の若手を昼食5時間抜きで特訓させたり…。その鬼ぶりがクローズアップされてきた指揮官。昨季最下位からの雪辱を期す2017年。独占インタビューでその真意に迫った。
◇ ◇
-鬼と呼ばれることが多くなった。
「鬼とかないよ(笑)」
-キャンプで厳しい姿勢を見せた。
「奥浪と園部はプロとしての自覚がない、ということを言っただけ。怒ったわけじゃない(笑)。これからスタートというときにありえない。当たり前のこと。(第2クール初日にケガで離脱した)大城は休み明けというのがね。じゃあ休みをどう過ごしていたのか。プロとして体調管理をどうしていたのかということ。プロとしての自覚を持てということ。生活がかかってるわけやから」
-バント、右打ちを昼食抜きで5時間以上というのもあった。
「あれは打撃コーチから“やらせていいですか”と言うから、いいよと言っただけ。オレがやらせたみたいになってるけど(笑)下手は練習するしかない。練習しないと自信につながってこない。バントや守備は練習したらうまくなる。打撃は違うけど。そういうことができないと1軍の枠に入れない選手やから」
-4月は宮崎の起用が当たり快進撃につながったが、今は2軍。
「本当は年間を通してやってもらいたい。けれどその体力、精神力がない選手もいる。旬なときに使い切るということを考えてる」
-4月8日の日本ハム戦で宮崎をスタメン起用したときは、前日練習でじっと打撃練習を見ていた。ひらめきがあった?
「そういうのはあるね。やっぱりいろんな角度から見たい。ケージの裏からだけではなくて外野から見たり」
-練習中に外野に行くのは、選手を見るため?
「見てるよ(笑)。休んでるわけじゃない。宮崎の場合は何日か前から状態が良かったからね」
-5月10日に2軍に落とした。
「状態が落ちてきたからね。ここが限界かなと。そういうときのために、川端を2軍で調整させておいた。そこは技術もそうだけど性格的なものも見ながら判断している」
-性格的というとT-岡田はなぜ4番ではないのか。
「4番にはこだわらない。Tの性格上、前にいい打者がいて初めて生きる。去年はほかにいなくなったから、いってもらったけど。Tの力はまだ出てくると思う」
-どうやって性格を知るのか。
「見てたら分かると思う。別に話をしなくても。いろんなゲームの中でね」
-試合前に選手とよく話をしている。
「状態を確かめている。きょうの状態もそうだし、昨日のプレーが尾を引いていないかとか。(監督に)声掛けてもらったら違うと思うしね、選手も」
-全員に声を掛ける?
「会ったらだいたいね。投手にも肩、肘のことは聞く。打たれたことは言わない。そこを言っても仕方ない。体と心のことを聞く。(小谷野)栄一やナカジ(中島)は体のことだけ。技術的なことは言わない。ちょっとしたことを言うことはあるけど。(フォームが)大きくなってるよ、とかね」
-これまでスカウト、2軍監督も経験している。
「現場にいると“なんやこの選手”なんて声を聞くやん。スカウトはいいところがあったから取ったはず。コーチはそこをどうやって伸ばしてやるか。スカウトが1年間ずっと追いかけて“いける”と思って取ったんだから。それを“なんでこんな選手”なんて言うことはない。絶対ない。オレが思うにはスカウトを1回は経験してほしい。それでコーチや監督したら絶対、選手を見る目が変わる」
-監督の仕事とはどこからどこまで。
「全部やね。ずっと1年中。いろいろ考えることが多いから。投手と野手の両方考えてるからね。ゲームをやるのは選手。ゲームが始まったら選手のもの。いかに気持ちよくグラウンドに送り出してやるか。それはコーチにも言ってる。1軍のコーチはそれが仕事。打てようが三振しようがそこは関係ない」
-選手を責めることがない。
「責めない。例えば投手は打たれるのが仕事やと思ってる。だから四球がイヤなんやけど。打者にしても失敗のスポーツやからって選手には言ってる。7回失敗して“スゴイ”って言われるのは野球だけ。それくらい難しいんやから。だからよりシンプルに考えなさいと言ってる。打撃はいくらでも難しく考えられるからね」
(続けて)
「そこにバントとか右打ちとか入ってくる。それができたら稼げる。だからそういうことが大事」
-だから鬼になった。
「鬼じゃないって、だから(笑)」