ロッテ・石川、顔をタオルで覆い動けず「野手に申し訳ない」
「交流戦、ロッテ7-15阪神」(ZOZOマリンスタジアム)
ロッテ・伊東監督の言葉には力がなかった。その代わりに寂しさが漂った。「見ての通り、一時は逆転していい流れになったと思ったのに…」
交流戦からの浮上を期してマウンドに送った石川がもろくも崩れた。指揮官には大きな誤算だった。勝ち星なしの4敗ながら、復活を信じたのだが…。
ベンチに戻った石川が白いタオルで顔を覆って動かなかった。
4-4で迎えた五回だ。上本、糸井に連続四球で無死一、二塁。英二コーチがマウンドへ。石川を中心にした輪が解けて、その直後に福留の打球が左翼へ飛んだ。上本が勝ち越しの本塁を踏んだ。キャンベルは三振に仕留めたが、交代を命じられた。事実上のKO。後を受けた土肥が集中打を浴びて、一気に6点を失った。
「点を取ってくれたのに、あの投球では野手に申し訳ない。きょうは勝てると思ってマウンドに上がったのですが…」。一回、いきなり糸井に右翼席に7号2ランを運ばれた。先頭の高山に与えた四球から招いた一死二塁だった。三回には高山に1発を浴び、四回にも俊介の二塁打と自らの二塁けん制悪送球が絡んだピンチから1点を失った。
涌井と並ぶ2枚看板石川の長い不調を問われた、指揮官はこう言った。「本人に聞いてください。いろいろ悩みがあるのかもしれない。でも置かれた立場がある。そういう姿が見られなかった」
それでも打線は二回に大嶺翔の3号2ランなどで4点を奪い、一度は逆転した。五回にも荻野以下の3連打で無死満塁として、鈴木の押し出し死球、井口の中犠飛、そして三木の2本目のタイムリーで3点を奪った。
だが、投手陣が崩れた。六回は高野、七回は大嶺祐、さらに九回には東條が先頭打者への四球から失点した。
「出てくる投手がやられてしまって…。自滅している。打線がチャンスを作れるようになったのになあ。
阪神戦は毎年もつれる展開になるから、最後がなにがあるか分からないと思っていたが、最後は大味になった…」。伊東監督はこう振り返った。
この夜、ロッテ投手陣が浴びた安打は「15」、与四球は「9」。さらに言えば、打線が阪神投手陣に喫した三振数は「15」。指揮官に寂しさが漂ったのも無理はなかった。
伊東監督はまた、試合後に東條を2軍に降格させ、松永と益田を1軍に呼び戻すことを決めた。