近大工、全日本でも勝つ 昨年明治神宮大会逃した悔しさバネに成長
広島六大学春季リーグ戦(デイリースポーツ後援)はこのほど全日程を終え、近大工が2季連続、通算48度目の優勝を果たした。昨秋はリーグ優勝しながら、中国・四国地区代表決定戦で敗れて明治神宮大会への出場を逃した。その悔しさをバネにチームは大きく成長。6月5日から始まる全日本大学選手権(神宮、東京ドーム)でも勢いを見せつける。
2週残して優勝を決めた近大工だが、最終週の広経大戦(5月27、28日)で勝ち点を落とし、開幕前から目標にしていた完全優勝は逃した。右近監督は「いい調整をして万全の状態で臨んだが、気持ちのどこかに油断があったのかもしれない」と悔やみながらも、シーズン通して力強い戦いを見せたナインには「よく頑張った」と健闘をたたえた。
優勝の原動力となったのが強力打線だ。11試合で計107得点を挙げ、コールド勝ちも6度記録。中でも3番・桜井、4番・小串、5番・坂本のクリーンアップは3人合わせて110打数51安打で打率・464、5本塁打、49打点をたたき出し、他校の投手陣を震え上がらせた。
昨秋の悔しさがバネになっている。リーグ優勝は果たしたが、中国・四国地区の代表決定戦で環太平洋大(中国六大学野球)にタイブレークの末に敗れ、明治神宮大会への出場権は逃した。
「あの負けで“二度とあんな悔しい思いはしたくない”と、選手みんなが同じ気持ちになれた」と大田佳主将は話す。冬場は打撃力のアップを目指し、選手全員が必死にバットを振り込んだ。右近監督も「自分たちで考えながら練習に取り組むようになった」とナインの成長を認める。そんな意識の高さが、今リーグ戦での活発な打撃につながった。
一方、投手陣もリーグ最少の32失点。昨秋リーグで最優秀選手賞を受賞した大野は精彩を欠いたが、もう1人の先発・向井が奮闘して4勝を挙げた。救援陣の野村、恩田も成長の跡を見せた。
全日本大学選手権では6日の1回戦で愛知大学野球連盟代表の中部大と対戦する。中部大の主戦投手は2014年の夏の甲子園で三重高を準優勝に導いた左腕・今井。近大工の強力打線との対決が見ものだが、右近監督は「そう簡単に得点を取ることはできないと思うので、しっかりと守るところからやっていきたい」と、投手を中心とした守りの野球で勝利を目指す。
2年ぶりの大舞台に大田佳主将は「広島の代表として恥ずかしくない試合をしたい。全国大会に行くだけではだめ。勝たないと意味がない」と力を込めた。リーグ優勝の勢いに乗って上位進出を狙う。