ロッテ延長戦制す、当日移動の長い1日 伊東監督「(勝って)良かった…」

 「交流戦、広島-45広島」(2日、マツダスタジアム)

 延長12回表。この夜、何度目のチャンスだったろうか。局面は二死二塁。ロッテ・伊東監督が代打で告げた名前はダフィーだった。

 ベンチスタートの助っ人にやっと出番が回ってきた。ブレイシアが1-2から投じた高めの球をたたいた。

 打球は右翼への適時二塁打となり、貴重な貴重な1点がロッテに刻み込まれた。

 試合後、伊東監督は満面の笑顔だった。「(勝って)よかった」と話し、「外国人が出てきたので(ダフィーの)タイミングが合うと思った」と起用の理由を明かした。

 ダフィーも大きくうなずいた。「アメリカ人と日本人では球の出方が違う。いい投手だったが、自分のスイングができた」

 チームは1日の阪神戦をナイターで戦い、この日東京駅9時半発の新幹線で広島入りした。交流戦では最初にして最後の遠征だ。

 「きょうは疲れたよ。選手も疲れている。長旅だったからね」とは伊東監督。そして笑いながら言った。「(勝って)心地よい疲れにしたい」

 一回に打線が先発のエース・涌井を援護した。先頭・大嶺翔の二塁打から一死三塁で清田が中前へ先制のタイムリー。さらに一死満塁から根元の適時打、三木の左犠飛、吉田の二塁打で4点をもぎ取った。

 「エースが投げるのでなんとか主導権を取りたい」と話していた指揮官の思惑通りに進むかと思われたが、エースが五回に崩れた。

 1点を失って、なお1死一、二塁。田中の3号同点弾が右中間スタンドに吸い込まれた。先頭のエルドレッドに14号ソロを右翼ポール際に運ばれると、新井の四球と会沢の安打からピンチを招いて被弾だ。

 ロッテは八回から大谷、内、有吉、松永らを投入した。八回2死一、三塁、九回2死一、二塁、十回2死一塁。中継ぎ陣は広島の攻撃をしのいだ。

 だが、ロッテもまた九回2死満塁で鈴木と根元が連続三振、十回1死一、二塁でも大嶺翔、サントスが空振り三振に倒れた。好機を生かせずに我慢比べになっていた。そこで飛び出した、それまでベンチを温めていたダフィーの一撃。最後は益田がキッチリと締めた。

 「(広島は)粘りがある。打線もなにかのきっかけでつながってくる。(4点は)セーフティリードの感じがしなかった。(涌井が)よく同点で止めてくれた」と伊東監督は試合を振り返った。

 チーム一丸で12回を戦いきっての1勝は大きな1勝だ。

 「きょうみたいなゲームをやっていたら、そう連敗することはなかった。自信を持ってやってほしい」

 負けていたら二倍にも三倍にも膨らんでいただろう疲労感。それがなんとも言えぬ“心地よさ”になって、この日の伊東ロッテの長旅は終わった。

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