中日・荒木2000安打達成 竜一筋22年、地道な努力実った
「交流戦、中日1-5楽天」(3日、ナゴヤドーム)
中日・荒木雅博内野手(39)が3日、楽天戦(ナゴヤドーム)の四回に美馬から右前打を放ち、史上48人目となる通算2000安打を達成した。中日の生え抜きとしては高木守道、谷沢健一、立浪和義に続いて4人目。「外れの外れ」ドラフト1位で入団し、中日一筋の22年目で大台に到達した。初安打は1997年6月11日の広島戦(広島)で高橋建から記録。
名手が打の勲章を手に入れた。荒木が通算2000安打を達成。四回1死の第2打席、美馬が投じた初球の外角球に「止めましたけどね、バットを。ちょっとタイミングが早いかなと思って」と、おっつけるようなスイング。打球はライナー性の当たりで右前へ抜けた。荒木らしさが出た、しぶとい右打ちに「あんな感じで出てくれてよかった」と白い歯をこぼした。
入団直後は「外野にも飛ばない」と周囲に冷やかされるほど打撃に苦労した。「2000本なんて全く目指していなかった。外野というか、前にすら飛ばなかった。プロで安打を1本打てるかどうかの選手だった」。入団後5年間で放った安打はわずか15本。そこから地道に積み重ねた。
長く苦しい2軍暮らしで練習に明け暮れたが、結果は出ない。一時は俊足を生かすため、左打ちにも挑戦した。転機は右打ちに専念した6年目。京都での巨人とのオープン戦だった。右投手から複数安打を放ち、首脳陣の信頼を勝ち取った。同年6月、初本塁打を巨人の速球派左腕メイから放った。努力が実った瞬間だった。「高校でも練習試合を含め数本しか打ったことないのに」と自信を深め、印象に残る安打の1本になった。
源になっているのが「うまくなりたい」という純粋な気持ちだ。年を重ねても、貪欲な姿勢は変わらない。通算2000安打まで39本とした昨季のオフには、長年親しんできた自らの打撃フォームを変化させた。
球団史上6人目で初の本拠地での2000安打達成。「昨日今日とすごい声援をもらい、『ああ、こんなに応援してもらってるんだな』とつくづく感じた。これから野球をやめるまで、その感謝の気持ちを持ったままやっていきたい」と前を向く。がむしゃらに、ひたすら精進してきたプロ野球人生。この日、その努力が報われて一流打者の仲間に加わった。