巨人、球団ワースト連敗地獄13で脱出 高橋監督「一つ勝つというのは難しい」
「交流戦、日本ハム1-2巨人」(9日、札幌ドーム)
真っ暗闇の長いトンネルから、ついに抜けだした。巨人が球団史に刻まれた屈辱の大連敗を13で止めた。1-1の五回、主将の坂本勇人内野手(28)が左中間へ勝ち越しの決勝二塁打を放った。高橋由伸監督(42)は試合後「一つ勝つというのは難しい」と話した。
札幌ドームの一塁ベンチに笑顔の花が咲いた。「ナイスゲーム!」。ナインの絶叫に近い声とともに、激しいハイタッチの音が響いた。5月24日以来、16日ぶりの勝利。悪夢の連敗を「13」で止め、高橋監督は、安どの表情でベンチ裏に姿を見せた。
「一つ勝つというのは難しい。なかなか結果が昨日まで出なくてね。そういった中でも、選手は本当に何とかしようという思いでやっていたのは間違いないですし。時間はかかりましたけど、何とか一つ実になってくれたので、良かったと思います」
二回に先制したものの、直後に追いつかれた。連敗中に何度も味わった展開の中で決勝打をたたき出したのは、主将・坂本勇のバットだった。五回2死二塁。「積極的にいった」と初球の内角高め直球を強振。打球は左中間フェンスを直撃した。流れを引き寄せる大きな一打に「うれしいです。素直に」と喜びを表現した。
好転しない状況の中、何度も選手ミーティングを開き、打開策を模索した。「それは(主将として)当たり前のことなので」と話すが、巨人入団から11年目で初めて味わう勝利の難しさだった。「何と言えばいいのか…」と苦悩を口にしたこともあったが、難産の末の1勝に、心からの笑顔が戻った。
前日8日から2番で起用。その際に「別に(打撃を)変えなくていい」と短くアドバイスを送った指揮官は、チームの中心が決めたことに価値を見いだした。「苦しい中でも、チームの顔が打ってくれたので良かった」。チームを救うのは主軸。役者の期待通りの働きに、うなずいた。
名門が味わった創設以来初の屈辱。悪い流れは止まった。だが、借金9と手放しで喜べる状況ではない。それでも大黒柱の阿部は「失望させてしまった分、取り返すチャンスはある」と前向きな言葉を残した。残り86試合。この2週間強を糧とする戦いが、これから始まる。