巨人、セ初ノーヒットノーランリレー 山口俊、涙の移籍後初星「迷惑かけた」
「交流戦、巨人3-0ソフトバンク」(14日、東京ドーム)
低迷する巨人に、待望の救世主が現れた。右肩痛で出遅れていた山口俊投手(29)が移籍後初先発初勝利。6回無安打無失点と完璧な投球だった。マシソンからカミネロとつなぎ、セ・リーグ史上初の継投によるノーヒットノーランを達成。チームは5月24日以来の連勝で、借金を9とした。
あふれる感情を抑えきれなかった。快挙の立役者となったのは、右肩痛で大きく出遅れていた山口俊だった。「FAで来て、すごい迷惑をかけていましたし、この1勝に終わらず、ジャイアンツの一員として頑張っていきたい」。お立ち台では声を詰まらせ、胸に抱えるジャビット人形で涙を拭った。
初回から最速150キロの直球を中心に、フォークもさえた。六回に2四球とボークが絡み2死一、三塁と唯一のピンチを迎えたが、今宮を145キロ直球で二ゴロに仕留めた。復帰初戦ということもあり、102球でお役御免。高橋監督は「素晴らしい投球だった。期待通りいい投球でした」と賛辞を惜しまなかった。
FAで加入したが、昨季終盤に痛めた右肩が完治せず、キャンプはリハビリ組の3軍に入った。毎朝、育成選手に交ざって、ジャイアンツ球場の山登りからスタート。「FAで来た以上の責任とプライド」を胸に刻み、復帰への道を歩んだ。
チームは山口俊の出遅れも響き、下位に低迷。前日13日にはFA交渉の際、熱心に誘ってくれた堤GMが事実上の解任となった。「ここからまだシーズンがあるから、しっかり頑張ってほしい」と激励を受けた。「特に自分の責任もすごいあると思う。ここから自分が活躍して、少しでも堤GMに恩返ししたい」と誓った。
G党の支えも原動力になった。初めてジャイアンツ球場を訪れた1月17日。練習を終え、目にしたのは自身のサインを待つファンの行列だった。悩みに悩んで決断したFA宣言以降、古巣DeNAのファンからの辛らつな批判に心を痛めていた。「悪いことをしたわけじゃないのに…」。それだけに、G党の歓迎がありがたかった。
セ・リーグでは初、プロ野球では06年以来4度目の継投による快挙達成。「結果的にノーヒットで終わって良かった。まず、チームが勝てたことがうれしい」と山口俊。遅れてきたFA右腕が、由伸巨人の大逆襲の力になる。