伊予・西川、初甲子園だ チームワーク抜群!昨年“連係プレー”でひったくり犯逮捕
全国高校野球選手権愛媛大会は13日に開幕する。県内屈指の右腕としてこの夏注目を集めているのが、MAX145キロの伊予のエース・西川泰生(たいき)投手(3年)だ。昨年5月に西川を含む部員7人がひったくり犯逮捕に協力して話題となった。最後の夏の初戦の相手は新田。ほかにも済美、今治西など強豪がひしめく“死のゾーン”突破に向け、快速球右腕は静かに闘志を燃やしている。
激戦必至の愛媛大会。全国的には無名の公立校のエースが、派手な“下克上”を狙っている。プロも注目する伊予のMAX145キロ右腕・西川は「強い相手ばかりだけど、一つ一つ勝ち進んでみんなで甲子園に行きたい」と力を込めた。
松山南二中野球部出身で、伊予では1年秋からエースナンバーを背負った。直球のほかにカーブ、スライダー、チェンジアップを操り、より安定した投球を身につけるため春の大会後にフォーム改造。「体重移動と、リリースポイントを前にすること」をテーマに夏の大会に向け総仕上げの段階に入っている。
就任2年目の東正太監督(46)は「速球だけでなく、うまく変化球を交えて投球を組み立てられるようになった」と西川の成長に目を細める。大洲高時代に陸上の八種競技でインターハイに出場した同監督。陸上部での指導経験が長く、そこで培ったトレーニング法を同校野球部に取り入れナインの体力強化を図ってきた。西川も「背筋や下半身が強くなった」と“陸上トレ”の成果を口にする。
昨年5月には、ひったくり犯を捕まえるという大手柄で注目を浴びた。警察から感謝状を贈られたのは西川のほか、壽崎大和捕手、重見祐徳内野手、川吾悠太内野手、中川拓迪外野手、北條巧真外野手、北川葵翔内野手の計7人(いずれも現3年)。帰宅途中だった7人はバッグをひったくられた女性に助けを求められ、LINEで位置情報を伝えながら自転車で犯人を追跡。見事な“連係プレー”で身柄確保につなげた。
その活躍は全国ネットの人気情報番組などで取り上げられた。「あの時のことは、今でもみんなで話すことがあります」と西川。そんな思い出を共有する仲間たちとグラウンドでプレーするのも、この夏で最後だ。
初戦は13日、坊っちゃんスタジアムでの開幕試合で優勝候補の一角・新田と対戦する。同じゾーンにはほかに済美、今治西、小松など強豪がひしめいている。「まずは初戦、理想はゼロで抑えて勝つこと」。快速球エースは、チーム初の甲子園を目指して力いっぱい腕を振る。