DeNA10年ぶり貯金ターンもたらしたラミレス監督の“頑固”采配
前半戦をリーグ3位で終え、10年ぶりの貯金ターンとなったDeNA。アレックス・ラミレス監督(42)は球団史上初のCS進出にいざなった昨季に続き、今季もチームを躍進に導いている。かたくなに信念を貫き、選手を我慢して起用してきた指揮官の手腕に迫った。
想像を絶するほど、“頑固”だと感じた。一度決めたらてこでも動かない。貯金2で前半戦を終え、07年以来の勝ち越しターンをもたらしたのはラミレス監督だ。
象徴的なのが選手起用。指名したレギュラーをかたくなに信じてグラウンドに送り出す。「選手に『あなたはレギュラーですよ』と言うのは、すごく重い決断。簡単な決断ではない」。重い決断だからこそ、ぶれない。
リードオフマンの桑原は5月、打率・200に落ち込んだ。だが「彼はウチのチームのレギュラー。僕が信じているのは、スランプの後には必ず好調の波が来る」。そう言い続け、今季全試合に1番で使った。
予告通りになった。桑原は、1日の巨人戦で初回先頭打者本塁打と九回に逆転満塁本塁打の離れ業をやってのけた。打率を・285まで上げ、アグレッシブなトップバッターとして躍動している。
正遊撃手の倉本も極度の打撃不振に陥った時期もあったが、9番に据える奇策も繰り出し、試行錯誤しながらスタメンに名前を入れ続けた。三塁手の宮崎は他の選手と競争させた結果、リーグトップの打率・349と屈指の好打者に急成長した。
育てながら勝つ-。この難題に挑戦している。戸柱、宮崎、倉本、筒香、桑原、梶谷のレギュラー陣は全員20代で生え抜き。我慢の采配が徐々に実を結んでいる。「我慢するというのはなかなか簡単なことではなかった。彼ら自身がしっかり成長してくれて、僕の信頼を勝ち取ったものだと思う」と目を細める。
決して“放任主義”ではない。「『一度つかんだものは絶対放すな。お前のものだ。こっちが決めるんじゃない。ポジションを失うかどうかは自分自身だぞ』と言ってます」。常にゲキを飛ばして、奮起を促している。
「僕はレギュラーに選んだ彼らで試合に勝つ。彼らで試合に負けると思ってます」。根底にあるのは選手と“心中”する覚悟。就任2年目で経験も積んだ。深めた自信を持ってタクトを振る。“ラミレスチルドレン”を駆使し、後半戦でまずは2位浮上を狙う。