阿波 まさかのキャッチャーボークで散る 敬遠の投球動作前にボックスから両足離れる
「高校野球徳島大会・1回戦、城東2-1阿波」(15日、オロナミンC球場)
徳島大会は1回戦が行われ、阿波がまさかの“キャッチャーボーク”で城東にサヨナラ負けした。九回1死三塁のピンチでエース・吉本健人投手(3年)が敬遠球を投げようとした際に、捕手の両足がキャッチャーボックスから出ていたためにボークが適用され、サヨナラの走者が生還した。徳島商は池田との“名門対決”を1点差で制して2回戦に進んだ。
息詰まる投手戦は、思いもよらぬ形で幕切れを迎えた。
1-1の九回1死三塁。サヨナラのピンチを迎えた阿波の鳴川真一監督(41)は満塁策を選択し、次打者への敬遠をバッテリーに指示した。そしてエース・吉本健人投手(3年)が相手5番・前野に投げた2球目。村田和至捕手(1年)が立ち上がって捕球すると、岡田正幸球審がボークを宣告。三塁走者が生還となり、サヨナラが決まった。突然の結末に、選手も観客も何が起きたのか分からない様子だった。
このボークは、吉本が投球動作に入った時点で村田捕手の両足がキャッチャースボックスから出てていたために適用された。通称「キャッチャーボーク」と呼ばれるもので、野球規則6・02「投手の反則行為」には、「故意四球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合」にボークとなると定められている。
審判部から説明を受けた鳴川監督は「捕手はまだ1年生。私の指導不足のせいで悔しい思いをさせてしまった」と沈痛な表情。村田捕手は「急いでしまったのかも…」と唇をかんだ。「ボークと言われた瞬間、頭が真っ白になった」と震える声で話したエース・吉本は、試合後に村田に歩み寄り「これをいい経験にして頑張っていけよ」と1年生の女房役を励ましていた。