神村学園、涙の逆転甲子園切符 春から無敗の九州王者いざ聖地へ
「高校野球鹿児島大会・決勝、神村学園5-2鹿児島」(20日、県立鴨池野球場)
神村学園が鹿児島を5-2で破り4度目の甲子園出場を決めた。1点を追う八回に途中出場の前畑太壱内野手(3年)のソロで追い付き、主将の後藤拓真外野手(3年)の3点二塁打で勝ち越した。
涙があふれて止まらなかった。ベンチもスタンドも、みんなで抱き合って泣いた。「死にものぐるいでやってきた。選手に感謝したい」。小田大介監督も男泣き。ベンチで叫び続け声はかれていた。
序盤から我慢の展開だった。相手エースの前に四回までわずか1安打。苦しむ神村学園を救ったのが前畑だ。代打で出場した五回に一時同点に追い付く三塁打。再び1点を追う八回は先頭で右翼スタンドにソロアーチを運んだ。その一発の後、2死満塁で主将の後藤が勝負を決めた。走者一掃、右越えの勝ち越し二塁打。塁上で両手を高く突き上げた。
秋の鹿児島大会準決勝で敗れて以来、今年は公式戦で負け知らず。春の鹿児島大会、九州大会と無敗のまま夏を迎えたが「ここまで来るのは苦しかった」と小田監督は本音を明かした。
秋の敗退後は打撃のチームから守りのチームへのスタイル変更に取り組んだ。チームの意識を変えるために主将を後藤に交代。冬場は夜中まで全員がノックを受けた日もあった。後藤はこの日、全員がノックを受けてボロボロになったボールをベンチに持ってきた。
苦しかった思い出は涙で流した。鹿児島で敵なしの春の九州王者は、5年ぶりの夏の甲子園へ乗り込む。「甲子園でも自分たちの野球を、守りからリズムをつくる野球をやりたい」と後藤。真の強さを発揮するのはこれからだ。