ヤクルト世紀の大逆転劇!10点差逆転66年ぶりプロ野球タイ記録

 「ヤクルト11-10中日」(26日、神宮球場)

 劇弾が右中間席に飛び込むと、緑に染まった満員の神宮が揺れた。延長十回に勝負を決めたヤクルト・大松の一発は、ただの代打サヨナラ弾ではない。プロ野球史上最大、10点ビハインドをひっくり返した大逆転試合の決着弾だ。35歳のベテランは「当たりは完璧。あとは、ファンの声援が後押ししてくれればと思った。三木コーチが円陣で『諦めず1点、次の1点と取っていこう』と話し、その皆の気持ちが形になった」と、殊勲を全員に分け合った。

 右アキレス腱(けん)断裂が元でロッテを戦力外になり、テストを経て今季ヤクルトに移籍。「去年のことを考えれば、野球をやれていることが幸せ」という思いが、今季2本目の代打サヨナラ弾に表れていた。

 負ければ、自力でのCS出場が消える崖っぷちで、六回までは一方的な展開。守備の乱れが点に絡み、新人・星は自己ワースト10失点で5回KO。打線は大野に六回まで無得点に抑えられていた。

 口火を切ったのは代打・中村だ。七回2死一塁、2試合連続スタメンを外された悔しさで1号2ランを左翼席へ。八回はバレンティンの2ランなど打者14人がつないで一挙8点。2死満塁で、不振にあえいでいた4番・山田が「チームの勢いに乗せてもらった」と2点左前打で同点にした。

 セ・リーグでは、1951年松竹以来66年ぶり2度目の10点差逆転勝利で0-10からは初。今月初の連勝で、真中監督は「このところ悪い記録ばかりだったが、いい記録が出て良かった」と久しぶりに笑顔で帰宅した。

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