清宮シフトで勝負も被弾「やっぱりすごいバッター」八王子学園八王子エース脱帽
「高校野球西東京大会・準決勝、早実4-1八王子学園八王子」(28日、神宮球場)
2年連続の甲子園出場を目指した八王子学園八王子は早実に敗れベスト4で涙を飲んだ。相手の主将・清宮幸太郎内野手(3年)には最多記録に並ぶ高校通算107号のソロ本塁打を浴びた。
八王子学園八王子はこの試合で清宮を打席に迎えると極端な守備体制を敷く“清宮シフト”を用いた。三塁手は通常の遊撃手より下がった位置。遊撃手は二塁ベースの後方位置。二塁手は一、二塁間より奥、一塁手も一塁線際の後方に構えた。また外野も左翼手は左中間、中堅手は右中間、右翼手は右線際で3外野手ともフェンスを背中に構えた。
試合後、安藤徳明監督は、「投手には清宮君と野村(大樹捕手)君に投げる球種とコースを限らせた。ここにボールを投げて清宮君が打った場合は『そこにしか行かない』というポジションを取らせた」と明かした。前日(27日)の練習では“清宮シフト”でのノックに時間を費やしたという。
清宮の107号は、そのシフトの左翼手が取った守備位置の頭上を越えて左中間スタンドに飛び込んだ。1-2で迎えた七回、先発のエース右腕・米原大地投手(3年)は先頭の清宮に2ボールからの3球目、外角低めの変化球を投げ左中間スタンドへ運ばれた。
米原は試合後、敗戦の悔しさをにじませながらも、「外のチェンジアップでした。1打席目は内野ゴロに、3打席目はフライに打ち取った同じボールなのに、試合中に修正して(本塁打にする)すごい能力だと思う」と清宮を称賛。被弾後のマウンドでは笑顔を見せたほどで、「しっかり投げ切れたし、ソロだったし焦ることはないなと思った。このボールがスタンドまでいって、ホームランになっちゃうんだ。やっぱり清宮君はすごいバッターだな、と自然に笑顔になっちゃいました」と振り返った。
八回からは2番手でサイドスロー右腕の村田将輝投手が登板し、清宮にはカウント2-2からの内角ストレートで勝負したが背中への死球を与えた。安藤監督は、シフトを含めたこの日取った対清宮、対早実への作戦や試合に臨む姿勢について、「基本的には勝負。いいバッターを抑えればいいピッチャーになれる。いいチームとやれる喜びを味わおう」と選手に告げ、「米原には107号、村田には(新記録の)108号を打たれて来いと言いました」とも明かした。