早実・清宮、涙の決勝敗退 プロか進学かは「まだ考えていない」
「高校野球西東京大会・決勝、東海大菅生6-2早実」(30日、神宮球場)
西東京では、今春センバツ出場の早実が敗れ、2年ぶりの優勝を逃した。怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(3年)は3打数1安打で、単独史上最多とされる高校通算108号アーチを放つことはできなかった。自身3度目の甲子園に届かず、試合後は涙を流した。今後の進路については明言しなかったものの、次なる舞台での成長を誓った。
清宮の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。敗戦直後のグラウンドでは、グッと唇をかみ締めていたが、表彰式を終えて仲間への思いを問われると「こんな自分にみんなついてきてくれた。準優勝という結果でしたけど、本当に日本一のチームだと思っています」と声を詰まらせた。
あと1勝、届かなかった。大入り満員3万観衆の期待が高まる中、初回は一ゴロ。四球を挟んで、六回も捕邪飛に倒れた。八回に痛烈な右前打で意地を見せたが、走者を置いた打席はなし。チームも2得点どまりで「打撃でカバーできなかった」と敗因を挙げた。
2年半の高校野球生活で甲子園に2度出場。107本のアーチを積み上げた。日本中の注目を浴び続けたことにも「つらい?全然、そんなことはない。うれしかったですし、そのおかげで自分も成長させていただいた」と感謝。「今まで一番濃い、2年半だった」と表現した。
濃密な時間を共有したから、涙がこぼれた。もちろん、甲子園優勝を追い求めたが、最後の夏を終えて胸を占めたのは仲間への思い。「今思えば、友情だったり、チームを作る過程であったり、そういうところが本当に追い求めるところだったのかな」と実感した。
進路については「まだ、この先どうしようかというのは全然考えていない」とプロや進学を含めて未定とした。複数の球界関係者によると、一時は選択肢にあった米大学への留学の可能性は低く、今後は家族と話し合った上で、プロ志望届の期限、早大の内部進学志望期限である10月上旬までに結論を出す。
早実では最後の試合となったが、1次候補に選出されている高校日本代表として、9月のU-18ワールドカップ(カナダ)への出場は確実。高校通算108号を打つチャンスも残されている。「まだ次がある。どこに行くにしろ、さらにレベルが高くなるし、高校野球よりも全然長い間もっと野球をやると思う。今日の負けをしっかり今後の野球人生で返せるようにやっていきたい」。高校野球の歴史に名を刻んだ怪物スラッガーは、最後に「悔いはないです」と笑い、聖地を目指す日々に別れを告げた。