侍ジャパン稲葉新監督 東京五輪「とにかく金メダル」7度連発
プロ・アマ合同で組織される日本野球協議会は31日、都内で会見を開き、野球日本代表「侍ジャパン」の新監督に元ヤクルト、日本ハムの稲葉篤紀氏(44)の就任を発表した。契約期間は20年の東京五輪終了まで。背番号は「80」に決まった。早実・清宮幸太郎内野手(3年)らの将来的な代表入りも視野に、悲願の金メダル獲得へ新生・侍ジャパンを作り上げていく。
引き締まった表情に緊張感と高揚感が混在した。動き出した20年東京五輪金メダルへの歩み。「そこしか目指していない。とにかく金メダルだけを目指してやっていく」。会見中、稲葉新監督が7度用いた「金メダル」の言葉。そこに、覚悟の程が凝縮されていた。
3年後に迫る一大イベント。期待、重圧。すべての野球ファンの思いを背負う大役。稲葉監督は就任要請に「監督経験もないので不安もあった」と正直な胸の内を明かす。それでも受諾したのは、逃した頂点への思いからだ。
選手として出場した08年北京五輪は4位。その後、野球は五輪種目から姿を消した。
「もう一度リベンジしたい気持ちがあった。東京五輪で野球が復活し、監督という立場でリベンジをさせてもらえる」。強い思いが不安をかき消した。
打撃コーチを務めた今春のWBCと同じ背番号「80」にも、世界一を逃した悔しさを背負って戦う覚悟が示されている。その中で最も重要な仕事は、五輪でのチーム編成だ。
五輪では大リーグ選手の不参加が見込まれる。早ければ今オフにもメジャー移籍の可能性がある日本ハム・大谷も、3年後に大リーグ球団に所属していれば五輪での招集は困難だ。それだけに「若い選手を試していきたい」と、原則24歳以下で戦う11月の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」を皮切りに、3年後を見据えた編成を模索していく。
早実・清宮も将来の代表入りが注目される1人。「非常に素晴らしい選手。僕の中でも興味を持っている」と稲葉監督。卒業後は進学かプロ入りかの進路は不透明だが「(今後は)スピードに慣れていくのが大事になる。いろんな可能性を含めて見守り続けたい」とした。
豊富な国際大会出場経験の一方で、監督経験はない。それでも「僕は全力疾走でやってきた。最後まであきらめず全力でプレーする熱い選手を集めて、熱い戦いをしたい」と話す。若き指揮官がたぎる魂とともに、侍の新時代を切り開く。