おかやま山陽力及ばず 5安打完封負けも堤監督「選手たちにありがとうと言いたい」
「全国高校野球選手権・1回戦、聖光学院6-0おかやま山陽」(10日、甲子園球場)
初出場のおかやま山陽(岡山)は、11年連続出場の聖光学院(福島)に完封負けを喫し、初戦敗退となった。先発の大江海成投手(3年)、2番手のエース・小松章浩投手(3年)が粘り強く投げたが、打線が5安打で12三振と援護できなかった。
初めての聖地で力を出し切れなかった。わずか5安打で完封負け。それでも顔を上げて整列したおかやま山陽ナインに、アルプスを赤く染めた約4000人の大応援団から温かい拍手が降り注いだ。
打線が相手エースの鋭い変化球に苦しみ、12三振を喫した。援護がないまま、背番号10の先発・大江が4失点で四回途中降板。2番手のエース・小松も「いつか自分たちに流れが来ると信じて投げた」と2失点で粘ったが、得点が刻まれることはなかった。
「負ければ悔しい。でも、甲子園を経験できた。選手たちに、ありがとうと言いたい」と堤尚彦監督(46)。就任12年目の同監督は、95年に青年海外協力隊員としてジンバブエで野球指導を行った経験を持ち、現在もナインが使ったバットやグラブをアフリカに送る活動を続けている。選手たちも梱包(こんぽう)などを手伝い、野球の国際的な普及に貢献してきた。
練習もユニークで、三点倒立やジャグリング、将棋などがメニューに入る。小松は1年時、堤監督から「三点倒立ができるようになれば、球が速くなるよ」とアドバイスされ、毎日実践した。入学時に119キロだった球速は、140キロを超えるまでに成長した。
初陣は完敗でも、同校野球部にとっては大きな一歩だ。「来年もここに来てくれると思う。次は勝ってほしい」と小松。果たせなかった「1勝」の目標は後輩たちに託された。