鳴門渦潮・森監督、2日前に急逝した父の弔い星ならず

 「全国高校野球選手権・1回戦、日本文理9-5鳴門渦潮」(12日、甲子園球場)

 鳴門工、鳴門一の統合後初めての出場(前身での出場は2008年)となる鳴門渦潮は主戦・河野成季投手(3年)の不調による序盤7失点が響き、日本文理に5-9で敗れた。2日前に父を亡くした森恭仁監督(50)にとっても悔しい1敗となった。

 思わぬ展開。森監督は河野の不調を嘆き、八回の好機でのわずか1得点を残念がった。が、一瞬だけ、涙をひと筋こぼし「校歌を、届けたかったなあ」とつぶやいて、甲子園ベンチ裏通路の天井を見つめた。

 父・萬壽男さん(78)がわずか2日前、予兆もなく肺炎で急逝した。高校野球が好きで、森監督が率いて甲子園に出場した04年夏の鳴門一、11年春の城南の記念タオルをソファの背に掛け、くつろぐのがお気に入りだった。

 森監督は11日午前6時半の、鳴門行きのバスに「絶対、今日中に帰ってくる」と言い残し、飛び乗った。ひつぎに、記念タオルを納め、必勝を誓って午後10時、チーム宿舎に戻ってきた。生徒の前では、何事もなかったようなそぶりでいた。

 一方で生徒たちは「心の中では、元気がないはず。監督がいない間にみんなで『勝って、元気を出させよう』と、話し合いました」(松崎主将)という。

 「僕個人のことで、絶対に生徒に迷惑をかけたくない。野球は別」と話した森監督と、監督を気遣う生徒と。しかしその絆をもってしても、日本文理の強打は攻略できなかった。

 しかし絆があるからこそ試合後、森監督は「全力を出し切っての負けなら『惜しい』とも思える。それができなかった」と厳しい言葉で試合を振り返る姿勢を貫いた。次の世代にも「もっと小さなチームになる。やるべき事は多い」と手綱を緩めない。手向けの1勝をささげられる日は必ず訪れる。

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