たった3人の野球部から夢つかんだ左腕 京都成章・上林投手

 「全国高校野球選手権・2回戦、神村学園3-2京都成章」(14日、甲子園球場)

 どんなに細く険しい道も甲子園へと続いている。部員が3人しかいなくても-。京都成章・上林涼投手(2年)はマウンドにこそ立てなかったが、夢舞台の熱狂を体全体で浴びながらブルペンで肩をつくった。「やっぱり甲子園は歓声がすごい」。左腕にとっては特別な時間だった。

 洛西中時代の2年秋。8人になった部員全員に、当時の古沢憲治監督が手渡したのは退部届だった。「やるならやる、辞めるなら辞めるでハッキリしよう」。遅くまで練習に付き合ってくれる熱血漢に心酔していた上林は残ったが、5人が去った。「野球への気持ちが冷めかけた」。しかし、辞めれば甲子園への道が途絶える。歯を食いしばり、ノックも雑用も3人でこなし、試合には他校との合同チームで出場した。

 たった3人の野球部経験は無駄じゃなかった。松井常夫監督の誘いで入学した京都成章は100人近い大所帯。ノックがなかなか回ってこず最初は戸惑ったが、覚悟はできていた。「常に自分で考えることが身についた。投手は自主的な練習が多いので有利」。試合前には一人逆立ちをする。肩甲骨を伸ばして体の状態をチェックするルーティンは、創意工夫を重ねた中学時代のたまものだ。

 中学の恩師からは今も激励の連絡が届く。最後まで共にした部員2人は野球を続けていないが応援してくれる。「もう一度甲子園に来たい。次は絶対投げられるように」。来年はエースナンバーをつけて恩返しする。

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