広陵・中村、聖地3号3ラン 打てる捕手だ9の7!スカウト「アマでトップ」
「全国高校野球選手権・2回戦、広陵6-1秀岳館」(17日、甲子園球場)
広陵(広島)は甲子園3季連続4強の秀岳館(熊本)を破り、3回戦に進出した。今秋ドラフト1位候補・中村奨成捕手(3年)が3-1の九回、2試合連発で今大会3号となる3ランを放ち、ダメを押した。3回戦は19日第3試合で聖光学院と対戦する。
甲高い金属音がどよめきに変わった。高々と舞い上がった白球が左翼席に消える。勝負強さと高校生離れしたパワーを見せつける聖地3本目の3ラン。中村が一振りで試合を決定付けた。
「打った瞬間にいったと思った。気持ち良かったです。感触はバッチリでした」
3-1の九回1死二、三塁。秀岳館のエース・田浦が投じた初球、内角寄りの直球に体を鋭く回転させた。完璧に捉えた打球は軽々とフェンス越え。人生初の公式戦4戦連発となった。
大舞台で打撃は絶好調だ。初回2死の第1打席は左翼線二塁打。四回の第2打席では左前打で出塁し、2死二、三塁から暴投で先制のホームを踏んだ。3安打3打点の大活躍。今大会は9打数7安打3本塁打で打率・778と驚異的な高数字を残し、チームの勝利に貢献する。
スカウトの評価はさらなる上昇曲線を描く。オリックス・柳川スカウトは「モノは間違いない。捕手だけでなく、遊撃手もできる。アマの中ではトップ。12の枠(1位指名)の中に入っているでしょう」と熱視線を送った。
名門広陵に入学後、1年夏から正捕手を任されている中村。中学3年時には県内外の強豪校から誘いを受けた。進学先を決めるため、多くの監督に話を聞いた。技術的な話をする指導者が多い中、中井哲之監督(55)からは人間性について説かれた。
「中井先生から『男として、正直に真っすぐに生きろ』と言われました。中井先生の下なら絶対に甲子園にいけると思った」。頼もしい言葉に魂が揺さぶられた。高校3年間を広陵で過ごす決断をした。
野村(現広島)と小林(現巨人)のバッテリーで準優勝した07年以来となる3回戦進出。次戦は19日に聖光学院と対戦する。「いつもみたいに向き合って、自分たちの野球をしたい」。一丸となり、悲願の夏制覇を目指す。